米VMware幹部、Kubernetesへのコミットを強調 「VMware Tanzu」の意義など語る
ヴイエムウェアが「クラウドネイティブ戦略」の現状と今後の方針を説明。米VMwareの幹部が、今後はKubernetesを中核事業に据えることを強調した。新サービス「VMware Tanzu」を軸に、アプリケーション開発を支援していくという。
ヴイエムウェアは11月11日、同社が推進する「クラウドネイティブ戦略」の現状と今後の方針を説明する記者発表会を行った。会見に登壇した米VMwareの幹部は、今後はKubernetesを中核事業に据え、インフラベンダーの枠を超えてアプリケーション開発者を積極的に支援する方向性を強調した。
まず米VMware上席副社長のレイ・オファレル氏が登壇し、この1年間で、Webアプリケーション群をオールインワンパッケージで提供するサービス「Bitnami」や、オープンなクラウド基盤を提供する「Pivotal」の運営元を買収したことを紹介。「Pivotalの買収は、Kubernetesに投資するのと同等」(オファレル氏)と、近年急速に盛り上がっているKubernetesにコミットすることを表明した。
この買収は、VMwareが以前提供している仮想化ソフトウェアスイート「vSphere」にKubernetesを組み込むことで、vSphereが今後も開発者にとって魅力的なツールとしての地位を保ち続けることを狙ったものと思われる。
その背景にあるのは、最近のKubernetesの人気ぶりだ。オファレル氏は、下図のようなグラフを示し、開発者とIT管理者の両方でKubernetesに対する関心が高まっていることを示した。
そして、PivotalとBitnamiに加え、18年11月に買収した「Heptio」運営元も含めた3社の資産をVMwareに統合し、「Project Pacific」と呼ぶ試みを推進すると語った。オファレル氏によると、Project Pacificは、vSphereでKubernetesクラスタ、仮想マシン、Podsをネイティブに実行し、管理運用を可能とするプラットフォームを提供する――という構想のようだ。
Build、Run、Manageの3機能で開発者をサポートする「VMware Tanzu」
次に登壇したのは、VMwareのクレイグ・マクラッキー氏(クラウドネイティブアプリケーションビジネスユニット研究開発担当)だ。マクラッキー氏は、VMwareに買収されたHeptioの共同創業者であると同時にKubernetesの開発者でもある。
マクラッキー氏は、Kubernetes上でのアプリケーションのデプロイや運用を支援する新サービス「VMware Tanzu」(今年8月発表)に言及。「VMware Tanzuは、エンタープライズ環境でKubernetesを有効に活用するために必要な技術だ」と説明した。
VMware Tanzuは、同社の幅広い製品を組み合わせたソフトウェアスイートに近いサービスで、前述のHeptio、Bitnami、Pivotalといった買収相手の技術に加え、それらを包含したProject Pacificなどで構成されている。
マクラッキー氏によると、VMware Tanzuのメリットは(1)Bitnami、Pivotalなどのモダンアプリケーションで構成された開発環境(Build)、(2)Kubernetesの実行・管理機能をvSphereに統合した実行環境(Run)、(3)あらゆる場所に偏在するKubernetesクラスタを単一のコントロールポイントから管理できる環境(Manage)――の3種のコンポーネントを備えることだ。
同氏は、「このような技術を投入することで、アプリケーション開発者がコーディングに取り組む時間を大幅に増やすことができる」と訴える。現在は「開発者の勤務時間が8時間だとすると、そのうちの5時間は、インフラや開発環境の管理に費やされている。システムの保守で忙しく、コーディングする時間がない」といい、新技術によってこうした現状を変えたいという。
マクラッキー氏は最後に、現在のIT業界にはKubernetesの運用管理を行える人材が圧倒的に不足していると指摘した。そこで、パートナー向けの認定資格プログラムとして「Cloud Native Master Services Competency」という技術者の育成プログラムを実施し、人材育成に取り組んでいくことを発表した。
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