企業の基幹系システムをGoogle Cloudに刷新 アクセンチュアが新サービス ふくおかFGのネット銀行にも提供
アクセンチュアが、企業の基幹系システムをGoogle Cloud Platformに刷新する新サービスをスタート。ニーズに応じてGCPのサービス群から最適なものを選定し、オーダーメイドで開発する。ふくおかフィナンシャルグループが2020年度中をめどに開業予定のインターネット専業銀行「みんなの銀行」も同サービスを利用する。
アクセンチュアは12月11日、顧客企業のニーズに応じて「Google Cloud Platform」(GCP)のサービス群から最適なものを選定し、クラウド型の基幹系システムをオーダーメイドで開発するサービス「アクセンチュア クラウドネイティブ コア ソリューション」(別名:MAINRI)の提供を始めた。価格や開発期間などは個別に見積もる。
既存システムをクラウドに移行するのではなく、新たなシステムをゼロベースで開発することで、業務プロセスの変革を支援するという。入出金管理、金利計算、手数料計算など、基幹システムに多様な機能が求められる金融業界がターゲットだが、他の業界にも対応する。
アクセンチュアによると、MAINRIの利用が決定している企業の1つに、ふくおかフィナンシャルグループ(FG)が挙げられる。ふくおかFGは、2020年度中をめどにインターネット専業銀行「みんなの銀行」を開業し、勘定系システムにGCPを採用する予定。アクセンチュアはこのシステムの構築を担うという。
「Kubernetes」「Apache Kafka」など使用
MAINRIでは、外部サービスとAPI連携できる柔軟性、突然の負荷集中にも耐えられる拡張性、データを素早く分析できる処理性能――などを備えた基幹システムを構築できるよう、特定のフレームワークに沿って開発を進める。
具体的には、基幹系機能は全てマイクロサービスで構築し、各サービスを実行するコンテナを「Kubernetes」で管理する。金利計算や手数料計算などで消費者のデータを参照する際は、メッセージキュー「Apache Kafka」を使用し、負荷の上昇を防ぐ。
また、サーバの負荷に応じて、クラウドサーバの台数を自動で増減するオートスケールアーキテクチャを使用し、突然の負荷や障害に対応する。バッチ処理とストリーミング処理を並列で行う分散処理フレームワーク「Apache beam」も導入し、大量のデータ処理を素早く終えられるようにする。
消費者データの収集・分析を効率化するため、GCPのデータウェアハウス(DWH)サービス「BigQuery」も採用する。消費者の位置情報やスマートフォンアプリの利用状況など、さまざまな情報をリアルタイムに近い速さで収集し、分析するため、導入企業は消費者をパーソナライズしたマーケティングを素早く展開できるという。
アクセンチュアは一連のシステムの構築を担う他、顧客企業が自社開発できる体制づくりにも協力し、システムエンジニアへのレクチャーも実施する。
AzureやAWSにも対応予定
アクセンチュアの山根圭輔氏(テクノロジー コンサルティング本部 マネジング・ディレクター)は「重厚なオンプレミス型の基幹システムを中心に据え、必要に応じて周辺にシステムを拡張する従来の手法は、DX時代に適しているとは言えない」と指摘。
「これからの基幹系システムがどうあるべきかを考えた結果、さまざまなチャネルとAPIでつながり、アジャイルに変化できる機能や、柔軟かつ迅速にスケールできる機能が不可欠だという結論に至り、われわれが作ることに決めた。こうした方向性が一致したため、ふくおかFGにも提供している」と語った。
今後はGCPだけでなく、「Microsoft Azure」「Amazon Web Services」をベースにした基幹系システムの構築にも対応する予定という。
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