中小企業のIT活用「発火点に達していない」 東商が「Office 365」「マネーフォワード」試用版など提供
東京商工会議所が、日本マイクロソフトなど8社と提携し、会員企業向けにクラウドサービスなどを無償提供する取り組みを始めた。
東京商工会議所(東商)はこのほど、日本マイクロソフト、Sansan、マネーフォワードなど8社と提携し、東商の会員企業向けにクラウドサービスなどを無償で提供する取り組みを始めた。デジタル化が進んでいない中小企業向けに、ITツールを試用できる機会を設け、働き方改革への対応や生産性の向上を促す。
東商は11月、IT未活用・低関心層である60〜70代の経営者に東商の職員がアプローチしてITツールの活用を促す「はじめてIT活用 1万社プロジェクト」を打ち出した。今回のベンダーとの提携もその一環で、会員向けにITツールを試せるプランを用意する。
東商と提携するのは、日本マイクロソフト、Sansan、マネーフォワードの他、POSレジシステムのユビレジ、勤怠管理システム「ジョブカン」のDonuts、ビジネスチャット「WowTalk」のワウテック、文具・オフィス用品を手掛けるビズネット、凸版印刷の8社。例えば、日本マイクロソフトは「Office 365」3カ月無料試用版、マネーフォワードは「マネーフォワード クラウド経費」45日無償版を、会員向けに提供する。
東商が2019年6月に実施した調査によると、約66.4%の中小企業が「人員が不足している」と回答。一方、人手不足などを解消するためのITツールの活用はなかなか進まず、18年時点で「活用している」と答えた企業は5割程度だった。
東商の小林治彦理事・事務局長は、日本マイクロソフトが12月16日に開いた記者説明会で「中小企業のIT活用はいまだ“発火点”には達していない。(今回の提携で)発火を促していく」と期待を寄せた。
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