検索
ニュース

令和元年の東京、1万分の1で表現 じわり人気「御即位記念地図」ができるまで(2/2 ページ)

国土地理院が刊行した、特別仕様の地形図「御即位記念地図」がじわじわと人気を集めている。即位の記念地図は、大正、昭和、平成に続き、今回が4回目。デザインを担当したチームでは、伝統を受け継ぎながらも、令和らしくいかに東京を表現するかという葛藤があった。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

「スカイツリーを入れない」という決断

 A1よりやや大きめのサイズの紙に、東京の姿を収めようと試行錯誤する中で、苦渋の決断もあった。地図の枠内に東京スカイツリーを入れない、という判断だ。

 皇居付近を中心に、東京スカイツリーも地図内に含めようとすると、都庁がある新宿付近が枠外に出てしまう。約30年前の平成版では、都庁は「建設中」だった。近隣のビル群も含め、平成版と令和版でどのような変化があるのか比較できるようにしたいが、スカイツリーも入れたい──。そんなジレンマを抱えながら、小西さんらは議論を重ねたという。

 最終的に、皇居は外せないこと、高層ビル群、自然といった東京の特徴を取り入れること、といった総合的な判断から、スカイツリーを外すことを決めた。

photo
令和版の都庁付近
photo
平成版では都庁は「建設中」だった

「記録を残す役割がある」

 このようにして完成した記念地図は、紙ならではの役割があると藤本さんはいう。「単純に目的地に行くためなら、スマートフォンアプリの地図で事足りるが、街の雰囲気を一目で見られるのは紙の地図ならでは」(藤本さん)

 藤本さんは「パッと全体を見渡すと、緑が多い場所やビルが集中している場所も分かる」と続ける。「最新の状態をアップデートしていくスマホの地図に対し、紙の地図は『東京が令和元年、どんな状態だったのか』という記録を残す役割がある」

photo
10月22日の「即位礼正殿の儀」の時点で、国立競技場は完成していなかったため「建設中」という扱い
前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る