名刺管理のSansan、電子契約のクラウドサインと連携 名刺スキャンで契約履歴を一括表示、法務部門の負担軽減
Sansanと弁護士ドットコムが業務提携。法人向け名刺管理サービス「Sansan」と電子契約サービス「クラウドサイン」を連携し、名刺をスキャンすると過去の契約情報が分かるサービスを始める。開始時期は5月で、両サービスを使っている企業のみ利用できる。
クラウド型名刺管理サービスを手掛けるSansanは1月21日、法律相談サイトや電子契約サービスを展開する弁護士ドットコムと業務提携したと発表した。両社のサービスを連携させ、機能を拡充することで、相互に新規ユーザー獲得を目指す。協業の第1弾として、法人向け名刺管理サービス「Sansan」と電子契約サービス「クラウドサイン」を連携し、名刺をスキャンすると過去の契約情報が分かるサービスを5月に始める。
新サービスの名称は「契約管理オプション Powered by クラウドサイン」。利用者が営業活動などで入手した名刺を、専用のスキャナーかアプリに読み込ませると、会社名を取得し、クラウドサインに登録されている契約情報と自動で突合する。その上で、過去の契約締結の有無、契約時期、契約名、契約に携わった担当者などをSansanの画面上に表示する。権限がある社員は、Sansanの画面からクラウドサインを起動し、電子契約書を閲覧することも可能だ。
企業では、他社と取引や提携を行う前に、先方と過去に締結した契約書を法務・総務部門が参照し、新たな契約を交わしても問題ないかを確認するのが一般的だ。だが、営業担当者からの依頼を受け、法務・総務部門が契約書の原本を探し、内容を確認して可否を返答する――といったプロセスには手間がかかるため、取引のスピードが落ちるなどの課題があった。
新サービスでは、営業担当者などが名刺をスキャンすると、電子契約書のデータに基づいた正確な契約履歴を一括で表示するため、原本を探す手間などを軽減できる。権限の設定機能も備えており、一部の社員には契約の概要のみ閲覧を許可し、電子契約書の内容は閲覧不可とすることも可能だ。これにより、コーポレートガバナンスも確保できるとしている。
Sansan新規事業開発室の尾中倫宗氏は「事前にヒアリングした企業では、契約履歴のチェックに1社当たり1〜3時間を要しており、法務部門の負担になっていた。新サービスを使ってこうした課題を解消したい。取引先との古くからの契約が一括で分かるため、営業担当者は、過去の契約内容を踏まえて提案を練るなど、業務にも応用できるだろう」と自信を見せた。
新サービスを利用できるのは、Sansanとクラウドサインの両方を使用している企業のみ。導入した場合は、Sansanの従来の月額料金に加え、月額5万円(税別)の追加料金が発生する。
現時点では詳細は非開示だが、Sansanと弁護士ドットコムは今後も、両社のサービスを連携させる取り組みを継続する方針だ。
Sansanは現在、他社と連携し、名刺管理サービスに付加価値の高い機能を搭載する新規事業に注力している。今回のサービスの他にも、金融データプロバイダーの英Refinitivと協業し、名刺をスキャンするだけで取引先が反社会的勢力か否かが分かる機能を開発しており、3月にリリースする予定だ。
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