ドコモとリクルート、会員サービスを連携へ ホットペッパー利用でdポイント付与 Pontaと“三角関係”に
NTTドコモが、会員・ポイント事業でリクルートと業務提携。10〜12月をめどに「dアカウント」と「リクルートID」の連携を開始する。だがリクルートはすでに、「Ponta会員ID」とリクルートIDの連携に対応済み。Ponta運営元はKDDIとの資本・業務提携を発表しているが、各社は会員サービスを今後どのように提供していくのか。
NTTドコモは1月30日、会員・ポイント事業でリクルートと業務提携すると発表した。まず4月から、決済サービス「Airペイ」を導入済みの店舗で、dポイントの付与と利用に対応する。その後は10〜12月をめどに、会員サービス「dアカウント」と「リクルートID」の連携を開始。リクルートが運営する「じゃらん」「ホットペッパーグルメ」など12種の予約サイトを経由して宿泊施設や飲食店を利用したユーザーに、決済額に応じたdポイントを提供する。
dポイントの普及・利用を加速させる狙いがあり、ドコモの吉澤和弘社長は、同日の決算会見で「リクルートの予約サイトの加盟店は約20万に上る。この会員数の多さを魅力に感じ、リクルートを協業先に決めた。ユーザーのビヘイビア(行動データ)を生かしたマーケティングも共同で行っていきたい」と意気込んだ。共同での加盟店開拓なども計画しているという。
「Ponta会員」と“三角関係”に
ただ、今回の提携で“三角関係”が生まれそうだ。
リクルートはすでに、ロイヤリティ マーケティングの会員サービス「Ponta会員ID」とリクルートIDの連携に対応済み。予約サイトを通じて加盟店を利用したユーザーに「Pontaポイント」を付与している。
ロイヤリティ マーケティングは、ドコモと競合するKDDIと資本・業務提携し、20年5月をめどにau WALLETポイントを「Pontaポイント」に統合する予定だ。
リクルートは今後、ライバル関係にある2社の会員サービスと連携し、2種類のポイントを発行する形となる。利害関係が複雑化するが、各社は会員サービスを今後どのように提供していくのか。
この点について、ドコモの広報担当者は「リクルートIDと連携できるサービスを、Ponta会員IDとdアカウントのいずれか1つに限定する予定。連携するサービスは、ユーザーが選べるようにする」と説明した。
また、ドコモは現在、dポイントとPontaポイントとの交換を100ポイント単位で受け付けているが、このサービスを継続するか否かについても「これから検討していく」(ドコモ広報)という。
「スーパーアプリ化+大規模還元」の流れには乗らず
ポイント事業を巡る競合の動きをみると、KDDIはPontaとの統合に備え、2月10日〜3月29日に、毎週10億円相当のポイントを還元する大規模キャンペーンを予定している。2月4日にリリース予定の新たなスマートフォン決済アプリ「au PAYアプリ」を利用した顧客に、決済額の20%相当の「au WALLET ポイント」を付与するもので、他キャリアやMVNOの契約者も参加できる。
au PAYアプリは、KDDIがこれまで提供していた「au WALLETアプリ」を刷新したもの。KDDIは、同アプリに公共料金の支払いなど金融関連の新機能を3月以降に追加し、多様な場面で使える“スーパーアプリ”を目指す方針も掲げている。
“スーパーアプリ化”はソフトバンク系のPayPayが19年から提唱している施策。KDDIは大規模な還元キャンペーンと合わせて、PayPayに追随したといえる。
こうした流れに対し、ドコモの吉澤社長は「定義がよく分からないため、当社はスーパーアプリという言い方は用いない。だが、『d払い』を使い勝手のいいウォレットアプリにしたい。加盟する飲食店での事前注文・決済や、電子マネーやポイントの送金に対応するなど、機能拡充をしていきたい」と説明。
「“10億円を連続で”といった還元キャンペーンも行わない。ドコモは(期間や還元額を)絞りながら、継続的にキャンペーンを打ち、d払いを継続的に使ってもらえるようにする」とし、競合の「スーパーアプリ化+大規模還元」の流れとは一線を画す考えを示した。
分離プランの影響で5年ぶり減収減益に
ドコモが1月30日に発表した、20年3月期第3四半期累計(19年4〜12月)の連結決算は、売上高が前年同期比3.8%減の3兆5160億円、営業利益が12.7%減の7879億円、最終利益が10.7%減の5423億円。同期としては5年ぶりの減収減益となった。
携帯電話の月額料金を値下げしたプラン「ギガホ・ギガライト」を19年6月にリリースしたことや、同年10月に施行された改正電気通信事業法によって通信契約と端末のセット販売が禁止された影響で、端末の売り上げが伸び悩んだことが響いたという。
ただ、これらの打撃に備えてコスト構造の効率化などを進めているとし、20年3月期(19年4月〜20年3月)の通期業績予想は、売上高が前年比4.1%減の4兆6400億円、営業利益が18.1%減の8300億円、最終利益が13.4%減の5750億円のまま据え置いた。
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