オフィス家具の使われ方、データで分析 働きやすい職場に 「納品して終わり」から脱却目指す家具メーカー
オフィス家具メーカーのオカムラが、データを活用したビジネスに本腰を入れる。オフィス家具の設置場所・使用頻度などのデータ化を収集・分析し、導入企業のオフィス環境を改善するサービスを計画している。
オフィス内の家具の設置場所、使用頻度などのデータを収集・分析し、企業のオフィス環境を改善する――オフィス家具メーカーの大手オカムラが、そんなサービスを2021年をめどに始める予定だ。同社の遅野井宏氏(マーケティング本部 DX推進室 室長)は、日本マイクロソフトが2月6日に開催したイベント「IoT in Action Tokyo」で、「(これまでのように)家具を納品して終わりではなく、データに基づいたオフィス環境作りを行い、企業の働き方を支援したい」と意気込んだ。
遅野井氏は、多くの企業がオフィス環境の整備は仕事をする上で重要だと捉えている一方、予算消化のために行われる傾向があるとも指摘。オフィス環境の利用実態を把握できず、整備後の効果も可視化しづらいといった課題があった。
顧客企業への提案も「手探りだった」(遅野井氏)。オカムラの役割は、家具の製造・納品までにとどまり、納品後のコンサルや営業には手が回らない状況だったという。
そこで同社は、オフィス家具から設置場所、使用頻度などをセンシングし、取得したデータを基にオフィスの使われ方を分析する──というサービスを始める。家具の位置情報や使用状況の他、家具・部屋・エリアの稼働率、占有率、オフィス内の混雑状況(ヒートマップ)など、さまざまな情報を取得する。
データを基に、導入企業は家具や空間のレイアウトを変更したり、家具の使用状況や頻度に応じてコストを適正化したりできる。従業員が働いた場所と成果も記録でき、従業員の働き方の習慣・特性を分析し、働きやすい場所を推奨するといった活用も見込む。オフィス家具の製造・販売だけでなく、納品後のコンサルまで一貫して行う考えだ。
データを収集・分析するシステムは、クラウドサービス「Microsoft Azure」上に構築する計画。20年中にPoC(概念実証)を進め、21年内の実用化を目指す。現時点では、価格やセンシング機能などの詳細は未定。空調メーカーや電気機器メーカーなど異業種との連携も視野に入れる。
オカムラの荒川和巳氏(上席執行役員 マーケティング本部長)は、「IoTを通じたオフィス環境の整備によって企業の生産性を上げ、従業員一人一人が働きやすい環境を作りたい」と意気込んでいる。
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