新型virusとコンピュータvirusの共通点は?:IT基礎英語
コロナウイルスCOVID-19といい、コンピュータウイルスといい、ウイルスにあふれる現在。そもそもなぜコンピュータウイルスと呼ばれるようになったのか。
このところ、ニュースで「virus」の文字を目にしない日はなくなった。ジワジワと感染が広がっていく現象、そして連日マスコミやSNSで大量の情報が飛び交う現象は、必要以上に不安をあおる。
virus(ウイルス)の語源はラテン語で、「ねばねばした液体」「毒」という意味だったとか。そこから転じて人や動物、植物などの生きた細胞に入り込んで増殖する寄生体をvirusと呼ぶようになった。
そしてコンピュータが登場すると、生物の代わりにファイルに寄生して増殖するプログラムをcomputer virusと呼ぶようになる。
コンピュータに悪さをするプログラムは総称してマルウェア(malware)と呼ばれる。ウイルスのほかにも、ワーム、トロイの木馬、バックドアなどマルウェアの種類はさまざま。その中でどんなものをvirusに分類するのか、ウイルス対策大手のSymantecはこう解説している。
A computer virus, much like a flu virus, is designed to spread from host to host and has the ability to replicate itself. Similarly, in the same way that flu viruses cannot reproduce without a host cell, computer viruses cannot reproduce and spread without programming such as a file or document.
コンピュータウイルスは、インフルエンザウイルスと同じように宿主から宿主へと拡散するよう設計されていて、自己増殖の能力がある。インフルエンザウイルスが宿主の細胞なしに増殖できないのと同様に、コンピュータウイルスはファイルや文書などのプログラミングがなければ増殖して拡散することができない。
コンピュータウイルスといえば、PCが一般に普及し始めたころは画面に花火を打ち上げるとか、「I love you」のメールを大量に送るとか、感染を自己アピールしてくれるものも多く、今から思うとのどかだった気がする。
ところが現代のマルウェアは、知らないうちに感染してこっそり情報を抜き取ったり、ネットワーク内部に潜伏して密かに活動したりするものが主流になった。症状がなくても感染していることがある新型コロナウイルスのようなものかもしれない。
virusを形容詞にした「viral」という単語も、SNSなどの投稿に関連して目にすることが増えた。「go viral」といえば、誰かのツイートなどが注目を浴びて一挙に拡散する現象のこと。例えば新型コロナウイルスに関する誤った情報やセンセーショナルな情報がTwitterを通じて瞬く間に広まった現象は、「Shoddy Coronavirus Studies Are Going Viral And Stoking Panic(粗悪なコロナウイルス研究がウイルス的に拡散し、パニックを引き起こしている)」(BuzzFeedNews)と報じられていた。ただしネガティブな話題に限らず、いい話系の話題や楽しい話題もgo viralすることがある。
生物virusもコンピュータvirusも、感染防止のための対策は必須。けれどそうした対策についても誤った情報がgo viralになったりして、オンラインでもオフラインでもウイルスがはびこる不安はぬぐえない。
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