1月に詐欺発生の「Paidy」、再発防止にAI活用 顔認証で本人確認、不正取引を早期に検知
1月にサービスが悪用され、詐欺が発生していた後払いサービス「Paidy」の提供元が、新たな再発防止策を発表。AIによる顔認証を活用した本人確認機能や、AIを活用して不正取引を早期に検知する機能などを導入するという。実装は4月15日の予定。
2020年1月に、後払いサービス「Paidy」を悪用した詐欺が「メルカリ」などのフリマアプリで相次いだ問題を踏まえ、提供元のPaidyは3月12日、再発防止策としてAIによる顔認証を活用した本人確認機能などを導入すると発表した。実装は4月15日の予定。
顔認証機能の実装後、ユーザーはPaidyのアプリで、顔写真と運転免許証を撮影する必要がある。撮影した画像はクラウドに送信され、照合された上で、AIによって真贋を判定される。組み合わせが正しいと認められたユーザーのみ、Paidyを継続利用できる。
同機能は、ベンチャー企業のLiquidが開発したオンライン顔認証システム「LIQUID eKYC」をPaidyに組み込む形で導入する。Paidyは「C2Cマーケットプレース利用時に売り手の本人確認が徹底されるため、強力な再発防止策となります」と説明している。
Paidyはこの他、他の決済方法で発生した不正取引に関するデータを加盟店に提供してもらい、自社のAIに学習させ、不正な取引のパターンを事前〜発生直後に検知するシステムの構築を目指す。
ユーザーが月々の利用金額の上限を設定できる機能も新設し、使いすぎを防ぐとしている。
1月の詐欺の手口は?
Paidyは本来、ユーザーがメールアドレスと携帯電話番号を登録すると、買い物をした翌月にメールやSMSで請求の通知が届き、コンビニ払いや銀行振り込みなどで代金を支払える――というサービス。
1月に起きた詐欺では、悪意ある出品者が、在庫がない状態でメルカリなどで商品を販売。買い手がついた段階で、Paidyを利用して家電量販店のECサイトなどで商品を購入し、購入者に発送していた。
出品者はこの際、Paidyからの請求を無視し、購入者に請求書が届くよう仕向けた。そのため購入者は当時、出品者とPaidyに二重で代金を支払う必要性が生じ、ネットなどで被害の声が相次いでいた。
早期対応で被害はなし
Paidyはその後、こうした取引に遭ったユーザーからの指摘を受け、二重請求が発生しないよう対応した。さらに、悪用の恐れがある取引へのサービス提供も停止・制限した。そのため、現時点で代金の過払い被害は起きていないという。
詐欺行為の発覚後、Paidyは一部加盟店での取り扱いを停止していたが、本人確認機能の強化を踏まえ、再開に向けて検討するとしている。
関連記事
- 後払いサービス「Paidy」悪用した詐欺、メルカリなどで発生か ネットで報告相次ぐ
「メルカリで商品を購入し、代金を支払ったのに、後日『Paidy』からも請求が来た」──後払いサービス「Paidy」を悪用した、そんな詐欺に遭ったという報告がネットで相次いでいる。 - 詐欺発生の「Paidy」、提供元が対策 「悪用の恐れある」取引を制限・停止
後払いサービス「Paidy」を悪用した詐欺に対し、提供元のPaidy社が対策を講じる。悪用の恐れが高いと判断した取引では、決済サービスの提供を制限するか停止。再発防止策などの検討を進める。 - ホッチキス替え芯(1万円)──マスク高額転売禁止をすり抜ける悪質“替え玉出品”が続出
マスクの替え玉出品とみられる商品の質問欄では、価格や数量などの交渉が行われている。 - メルカリ、マスクの出品を禁止に 手作りも対象 転売を禁じる政令の閣議決定受け
メルカリがマスクの出品を禁止に。市販品、手作り品、セット販売の全てを禁じる。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、政府がマスクの高額転売を禁じる政令を閣議決定したことを踏まえた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.