AWSジャパン、政府や地方自治体のクラウド化に照準 公共領域でのパートナー連携を強化し“首位固め”
AWSジャパンが2020年のパートナー戦略を発表。今年は公共領域を担当するパートナー企業の拡大に注力するという。これにより、中央省庁、地方自治体、教育機関、医療機関などへの拡販を目指す。
アマゾン ウェブ サービス ジャパンは3月25日、パブリッククラウドサービス「Amazon Web Services」(AWS)の拡販に向けた2020年のパートナー戦略を発表した。今年は公共領域を担当するパートナー企業を拡大し、中央省庁、地方自治体、教育機関、医療機関などの案件獲得に注力する方針。すでに政府をはじめ、埼玉県、福井県鯖江市、福岡県北九州市、静岡県浜松市などでAWSの活用が進んでいるといい、今後もパートナー企業の協力のもとで採用実績を増やす考えだ。
同日開いたパートナー企業向けイベントに登壇した、AWSジャパンの宇佐見潮執行役員(パブリックセクター 統括本部長)は「公共向けパートナープログラムの加盟企業はまだ一握り。公共領域はクラウドになじみがない印象があるかもしれないが、ビジネスチャンスがある」と語り、多くの企業に参加を呼び掛けた。
政府は現在、システム調達の際にクラウドの利用を第一候補にする「クラウド・バイ・デフォルト原則」を掲げ、クラウド活用を推進中。10月に運用を始める予定の「政府共通プラットフォーム」のシステム基盤にAWSを採用することを検討している。同プラットフォームは、これまで府省が別々に運用してきた情報システムをクラウド上に集約したもので、運用体制の統一によるコスト削減効果とセキュリティ強化を見込んでいる。
こうした流れを踏まえ、宇佐見執行役員は「これまで(公共領域では)クラウドはITリテラシーの高いユーザーにニッチな分野で使われてきた。だが、クラウド・バイ・デフォルトの波を受け、当たり前に志向してもらえるようになった」と説明。「中央省庁や地方自治体では、レガシーシステムのクラウド移行も検討いただいている」と自信を見せた。
AWSジャパンは、公共領域へのさらなる拡販を目指す上で、パートナー企業に省庁や自治体との間に入ってもらい、情報収集、視察、仕様検討、費用の見積もり、システムの開発・構築、運用・保守――などを任せる方針だ。従来もこうした取り組みは行ってきたが、公共領域はクラウド活用のニーズが低いイメージがあり、他の領域よりもパートナー企業が少なかったという。今後はパートナー企業のサポートを強化し、体制強化を図るとしている。
クラウド・バイ・デフォルト原則の発表などを受け、国内クラウド市場では、国産クラウドベンダーが政府系クラウドの分野に参入する流れが起き始めている。例えば、富士通は中央省庁や関連機関に向けたクラウドサービスを自社開発し、5月に提供を始めることを発表済みだ。こうした中で、すでに市場で多大なシェアを持つAWSジャパンが、公共領域でのパートナー企業とのアライアンスをさらに強化した場合は、他社にとっては大きな脅威になりそうだ。
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