サイバーエージェント藤田社長「コロナの影響は3Q以降」 好調のネット広告で「出稿キャンセル」などの動き
サイバーエージェントが、2020年1〜3月期決算を発表した。売上高と営業利益共に好調だったが、4月以降は新型コロナウイルスの影響で広告事業の売上高が減少する見込みという。
サイバーエージェントが4月22日に発表した2020年1〜3月期決算は、売上高1291億円(前年同期比10.1%増)、営業利益124億円(同45.3%増)と増収増益だった。広告事業とゲーム事業が好調で、増益に貢献した。同社の藤田晋社長は決算会見で「巣ごもり需要もプラスに働き、メディア事業の『ABEMA』はWAU(1週間当たりの利用者)が大幅にベースアップした。しかし、3Q(20年4〜6月期)以降は新型コロナウイルスの影響で広告事業は明らかに減退する」と語った。
広告とゲーム事業が好調 新型コロナの影響は4月以降
広告事業は売上高727億円(同9.2%増)、営業利益67.2億円(同23.7%増)と順調に推移。「新規開拓した広告主の売上を伸ばす戦略が奏功した」(藤田社長)としている。しかし、1〜3月期に広がった新型コロナウイルスの影響で、既に大型キャンペーンなどを控える顧客も出てきているという。同社はリモートの営業体制を整える考えだが、藤田社長は「既に広告出稿のキャンセルや出し控えなどがあり、新型コロナの影響は免れない。3Q以降に影響が出てくるはずだ」と説明した。
ゲーム事業は、主力タイトル「グランブルーファンタジー」「プリンセスコネクト!Re:Dive」「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」の周年イベントや、2月27日にリリースした新規タイトル「この素晴らしい世界に祝福を!ファンタスティックデイズ」が好調で、売上高は448億円(同12.4%増)、営業利益は104億円(同39.8%増)だった。
新生「ABEMA」は巣ごもり需要でWAUが増加
4月11日付けで名称を変えたインターネットテレビ局の「ABEMA」(旧称AbemaTV)は、新型コロナによる“巣ごもり需要”もあり、「WAUが20〜30%ほどベースアップした」(藤田社長)としている。新型コロナの影響で、安倍晋三首相の会見や7都府県の知事会見など、ニュース番組がよく見られたという。
今後はオリジナル番組を始めとするオンデマンド配信をさらに拡充させる。放送を終えた番組などをオンデマンド配信する有料会員サービス「ABEMAプレミアム」の会員は67.6万人を突破。今後は会員限定番組を拡充し、12月末までに会員100万人を目指すという。
20年度の業績見通しに修正はない。半期を経過した時点での売上高は2448億円(目標に対する進捗率は53%)、営業利益は202億円(同63〜72%)、純利益は47億円(同48〜60%)となっている。
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