ドコモの20年3月期は減収減益 新料金プラン、dポイント還元などが利益を圧迫
NTTドコモが2020年3月期の通期連結決算を発表。主力の通信事業で、月額利用料を従来の最大4割値引きしたスマートフォン向けプランを展開した影響で減収減益だった。21年3月期の通期連結業績予想は、新型コロナウイルスの影響を考慮して非開示とした。
NTTドコモが4月28日に発表した2020年3月期(19年4月〜20年3月)の通期連結決算は、売上高が前年同期比3.9%減の4兆6513億円、営業利益が15.7%減の8547億円、最終利益が10.9%減の5915億円と減収減益だった。主力の通信事業で、大容量プランの「ギガホ」と段階制プランの「ギガライト」など、月額利用料を従来の最大4割値引きしたスマートフォン向けプランを展開したことや、端末の販売台数が減少したことが響いた。
セグメント別の業績は、通信事業の売上高が7.3%減の3兆6870億円、営業利益が18.4%減の7065億円。ギガホ・ギガライトを展開した他、両プランの契約者は「Amazonプライム」会費が1年間無料になる施策や、ギガホの月間データ使用量の上限を60GBに引き上げるなど利用者への還元策を行ったことが影響した。総務省の要請に対応し、契約解除料を9500円から1000円(ともに税別)に引き下げたことも減収要因となった。
金融・決済などのスマートライフ事業は、売上高が21.3%増の5437億円、営業利益が53.0%減の325億円。「d払い」で買い物をしたユーザーに「dポイント」を付与する還元キャンペーンを相次いで行ったため減益となったが、施策の効果でdポイントの年間利用額は23%増の1998億ポイントに拡大。d払いのユーザー数は前年同期の約2倍となる2526万人に増えた。
商用5Gと会員サービスを強化する計画だが、新型コロナが懸念点
21年3月期(20年4月〜21年3月)は、前年度の投資によって拡大した顧客基盤を生かし、3月末に始めた商用5Gサービスや、会員サービス「dアカウント」を強化する計画だ。
ドコモの吉澤和弘社長は「5Gの契約数は19年度終了時点で1.4万件。これを20年度中に約250万件にし、23年度には2000万件を目指したい」と意気込んだ。会員制サービスについては「顧客基盤のさらなる強化に向け、リクルートやメルカリと協業していく」と語った。
具体的には、ドコモは5月をめどにdアカウントと「メルカリID」の連携に対応し、フリマアプリ「メルカリ」で買い物をしたユーザーにdポイントを付与する。10〜12月をめどに、dアカウントと「リクルートID」も連携し、「じゃらん」「ホットペッパーグルメ」などの予約サイトを経由して飲食店などを利用したユーザーに、決済額に応じたdポイントを提供していく。
しかし、こうした計画の阻害要因になりそうなのが、新型コロナウイルスの感染拡大だ。吉澤社長は、在宅率の高まりや、対面でのコミュニケーション機会の減少に伴って、音声通話とデータ通信の量は増加する見込みだが、海外渡航の自粛によって国際ローミングは大幅に減るとの予測を示した。また、外出自粛や消費の落ち込みの影響で、金融・決済サービスの利用機会も減少する見込みだと説明した。
ドコモはこうした状況下でも、携帯電話料金の支払い期限を5月末まで延長したり、25歳以下のユーザーは通信速度制限を無料で解除できるようにしたりと、顧客の支援を積極的に行っており、今後も注力する方針という。
吉澤社長は「社会的責任を果たすべく、安定的な通信の提供に努める」とし、「世界、日本、当社にとって大きな試練だが、全社一丸となって乗り越えていく」と強調した。
21年3月期の通期連結業績予想は、「新型コロナウイルスの影響により、業績予想の合理的な算定が困難」として開示しなかった。「合理的な算定が可能となった段階で速やかに開示する」としている。
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