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Stay Home? ならば最大100時間は遊べる「ボードウォーゲーム」をリモートでやらないか(2/3 ページ)

外に出られない間、自宅で何をして過ごそう。そんな悩みを抱えている人は、長時間じっくり遊べる「ボードウォーゲーム」をやってみませんか?

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 War in the Pacificは、太平洋戦争を題材としたボードウォーゲームで駒の数は3200個以上、ゲーム版になるマップはA1サイズ(正しくは34×22インチ)で7枚、ルールブックは75ページという代物だ。

 ゲーム時間は公称20時間だけれど、開戦から終戦までのフルキャンペーンをやったら100時間はかかりそうというか、米海軍のアナポリスがオペレーションリサーチ研究の一環として試しに始めてみたら途中で挫折したという逸話があるほど。

 ボードウォーゲームについては「やたらとルールが複雑でゲーム時間が長い廃人ゲー」というイメージを持つ人が多い。実際、ユーロゲームやパーティーゲームと比べると、ルールが複雑でゲーム時間も長いボードウォーゲームが多いのも事実だ(ルールが複雑なユーロゲームもあるが)。

 ただ、これらの要素はボードウォーゲームが題材とする戦いを再現するためのものなので、決して無駄なものではなく、むしろ一層興味深く有意義なゲームの時間を過ごすために必要なものだ。

 もちろん、ボードウォーゲームのデザインも長い年月を経て進化しており、少ない数の駒やコンパクトなマップ、シンプルなルールに短いプレイ時間でも、ビッグなボードウォーゲームに負けない史実再現性と思考の複雑さを備えた新作が数多く登場している。正しく言うと、以前のブームのときにもそのようなボードウォーゲームは存在していたが、当時は「複雑で精緻なルールがスゴイエライ」という価値観が大勢を占めていたため目立たなかった。なので、初めての人がボードウォーゲームをプレイするハードルは低くなってきている。

 さらに、80年代のブームが衰退する大きな原因でもあった「一緒にプレイする人がいない」「ボードウォーゲームを広げる場所がない」「プレイが終わるまで広げたままにできる場所もない」という問題も解決しつつある。

 SNSの普及でボードウォーゲームサークルが情報発信できるようになったおかげで、それまで個々人で楽しんでいたソロプレイヤーやルールブックアナリストがプレイ仲間を見つけられるようになり、これが現在のボードウォーゲーム再興に貢献している。彼らはそれまで、ボードウォーゲームを広げるスペースも確保できず、ルールブックや戦闘解決表の熟読に徹し、ゲームデザインの分析や成功する可能性の高い戦術の研究に1人でいそしんできたのだ。

 サークルの例会は多くの場合、公民館や会議室などを利用する。広いスペースと複数の机を確保して大抵のボードウォーゲームを広げられるし、連休などでは2日間連続で会場を確保するときもあるので、そのような場合は時間のかかるボードウォーゲームを広げたまま連日プレイできる。もちろん、プレイする相手も見つけられる。

 というわけで、「短い時間で遊べるパーティーゲームはやりつくして手持ちぶさたである」などという人は、ボードウォーゲームで暇な時間を思う存分燃やし尽くされてはいかがだろうか。

「でもさ」

「はい」

「そうはいっても」

「はい」

「いま例会開けないし」

「ですよね」

「いま人の家に遊びに行けないし呼べないし」

「ですよね」

 実は、ボードウォーゲームには長い歴史と実績があるリモート対戦ツールが存在する。それが、「VASSAL」だ。そもそもこのツールは、生息数が極端に少なく出会う機会がめったにないウォーゲーマーたちが、遠く離れて分散していてもボードウォーゲームをプレイできるように開発されたもの。ある意味「ボードウォーゲームが氷河期を生き抜くため」のサバイバルツールといえる。それが令和の時代に「緊急避難的籠城戦」を行っている今、このツールがボードウォーゲームをプレイする数少ない機会を提供してくれる。

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