ソニー、金融事業の完全子会社化を正式発表 約3955億円でTOB 親子上場は解消へ
ソニーが金融子会社ソニーフィナンシャルホールディングスを完全子会社化すると正式発表。既に65.04%の株式を保有しているが、SFH株のTOBを実施し、約3955億円を投じて持ち株比率を100%に引き上げる。親子上場は解消する。
ソニーは5月19日、金融子会社ソニーフィナンシャルホールディングス(SFH)を完全子会社化すると正式発表した。既に65.04%の株式を保有しているが、SFH株の公開買い付け(TOB)を実施し、約3955億円を投じて持ち株比率を100%に引き上げる。事業ポートフォリオの中核をなす金融事業をソニー本体に取り込むことで、企業価値の向上や経営判断の迅速化につなげるとしている。
SFHは、ソニー生命保険、ソニー損害保険、ソニー銀行などを傘下に持つ金融中間持株会社。TOBは5月20日から7月13日までの39営業日にわたって行い、1株当たり2600円で買い付ける(SFHの5月19日終値は2412円)。SFHは東証一部に上場しているが、TOBが成立した場合は上場廃止となる。
ソニーの吉田憲一郎社長は「金融分野は、700万人以上の顧客を抱えるコア事業。これを取り込むことで経営力をさらに強化する」と説明。SFHの上場廃止については「上場子会社という一定の制約のもとに、独自の資金調達手段を保持するよりも、迅速かつ柔軟な経営判断を優先し、個々の事業に即した戦略の策定やグループシナジーの追求に取り組むべきと考えた」と説明した。
SFHの2020年3月期(19年4月〜20年3月)の連結業績は、売上高が1兆7814億円、営業利益が1119億円、最終利益が744億円。SFHの完全子会社化に伴う連結納税制度の活用により、ソニー本体は21年3月期以降に年間400億〜500億円程度の純利益の増加が見込めるという。
21年4月に経営体制を変更
ソニーはこの他、21年4月1日付で現社名を「ソニーグループ」に変更すると発表。これに伴い、現在エレクトロニクス事業を束ねている中間持株会社のソニーエレクトロニクスの社名を「ソニー」に変える。
今後はソニーグループに本社機能を集約し、その下に新ソニーやSFHなど、コア事業を担う中間持ち株会社を並べる体制をとることで、グループのシナジーを高めるとしている。
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