「5Gが新型コロナ拡散」陰謀論 5G基地局の襲撃が世界に飛び火し、デマ投稿が止まらない理由:この頃、セキュリティ界隈で(2/2 ページ)
虚偽投稿、フェイク画像など、5GとCOVID-19を結びつける陰謀論を信じている人がいまだにいるのはなぜか。
それでもデマ投稿は止まらない様子だ。5月に入っても、「5G機器に『COV-19』の文字が刻まれていた」というまことしやかな動画が出回った。動画はマスクとヘルメットを着けた男性が基地局の前に立ち、手に持った回路基板に「COV-19」の文字が刻まれていると主張する内容だった。
しかし事実検証サイトのSnopesによれば、男性が持っていた回路基板は実は古いテレビのセットトップボックスのもので、COV-19の文字も偽装だった。この回路基板を製造した台湾のメーカーHannstarは、5G機器は製造していないという。
誰が何の目的でこうした動画を作って流しているのかは不明だが、扇動に乗った基地局の襲撃は、オーストラリアやニュージーランドにも飛び火している。
世論調査機関のEssentialがオーストラリアで実施した意識調査(PDFへのリンク)によれば、「5Gが新型コロナウイルスの拡散に利用されている」という説を信じる人は12%に上る。さらに、「(Microsoft創業者の)ビル・ゲイツ氏が新型コロナウイルスの作成と拡散に関与した」という説を信じる人が13%も存在していることが分かった。
ゲイツ氏がやり玉に挙げられたのは、やはりネット上に出回った陰謀説が関係している。BuzzFeedによれば、オーストラリアではロックダウンに反対するFacebookのグループが多数の支持を集め、この中でゲイツ氏に対しても頻繁に矛先が向けられていた。新型コロナウイルス関連の抗議デモでは「ビル・ゲイツを逮捕しろ」と叫ぶ参加者もいたという。
ちなみにゲイツ氏は今、主に慈善家として活動していて、ゲイツ夫妻の慈善財団は新型コロナ対策にも多額の寄付を表明している。
それでも事実の裏付けのない陰謀説が止まらない理由について、専門家はABCの記事の中で、「一部の人たちは新型コロナウイルスで激変した状況をめぐり、同じくらい劇的な説明を求める。陰謀説がアピールする核心はそこにある。偶然の一致を利用して複雑な話を単純化し、特定の人や物をやり玉に挙げている」と分析している。
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