3Dプリントしたオブジェクトに目視できないラベルを埋め込む技術「G-ID」 MITなど開発:Innovative Tech
人の目では認識できないが、マシンビジョンでは識別できるコードを3Dプリンタ出力に埋め込む。
Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
米MIT CSAIL(Computer Science & Artificial Intelligence Laboratory)と英サセックス大学による研究チームが開発した「G-ID」は、3Dプリンタで立体物を印刷するときに現われる痕を使って、固有のラベルを埋め込む手法だ。
3Dプリンタは構造物の下から上に、層のように線を積み重ねて印刷する仕組み。どの順番で積み重ねていくかを3Dモデルから計算するためにスライサーソフトウェアを使用する。このスライサーの工程のパラメーターを変更しておくことでラベル付けをするのが本手法だ。
層の積み重ねる密度や角度、パターンを変更し、特定のレイアウトを生成することでラベル付けを行う。3Dオブジェクトの表面構造と内部構造の2種類を用いてレイアウトを変更できるため、多様な構造を生成できる。
内部構造のレイアウトを変更するラベル付けは、外観を崩すことなく埋め込める。また、表面構造へのラベル付けも、3Dプリンタで印刷した場合に発生する積層痕(積み重ねて印刷するために発生する層)と見分けがつかないため、自然な埋め込みが可能だ。
自然に見えるラベル付けをした3Dオブジェクトは、汎用カメラで検出し、画像処理技術で識別できる。
本手法を用いた例として、マグカップを識別するコーヒーメーカーが紹介されている。それぞれのマグカップにラベル付けをし、コーヒーメーカーに置くと、誰のマグカップかを区別して好みの飲み物を入れてくれるというものだ。
他にも、置かれた3Dオブジェクトから特定のゲームキャラクターを識別できるといったことが可能だ。
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