Apple Silicon MacとIntel Macはどう違う？ Appleのシステム構成解説ビデオで分かったこと

IntelチップをArmベースに置き換えただけではない、その大きな変化。

[MACお宝鑑定団]

　Appleは、WWDC 2020で「Explore the new system architecture of Apple Silicon Macs」を公開し、Apple Silicon搭載Macについて、ビデオで説明した。

Intel搭載Mac

　Intel搭載Macは、マルチコアCPU、強力なGPU、セキュリティ、SSDコントローラー、モーションコプロセッサ、画像処理プロセッサ機能を搭載したT2チップなどで構成されている。

　Apple SiliconはCPUやGPUなどさまざまな機能をワンチップにまとめたSoC（System on a Chip）で、CPUとGPUがPCIバスを通してデータをコピーしたりといったことが不要なユニファイドメモリアーキテクチャが使え、ビデオエンコーダー／デコーダー、機械学習関連の処理に特化したニューラルエンジン、機械学習の演算速度を向上させるためのプロセッサ、Intelプロセッサが対称型であるのに対してApple Siliconでは非対称型マルチプロセッシングであるといった特徴がある。

Apple SoC

　メモリ保護機能「ポインタ認証」により、不正な攻撃プログラムへのポインタに飛ばされないようになり、カーネル、システム、アプリケーションのセキュリティが強化される。

ポインタ認証

　Intel Mac用アプリをApple Silicon Mac上で動作させるための仕組み「Rosetta 2」は、macOSアプリ、Mac Catalystアプリ、ゲーム、Webブラウザ、JITコンパイラ、Metal、Core ML（ニューラルエンジン）を動作可能にする。

Rosetta 2

　x86_64システムのエミュレータ、ページング方式、メモリオーダリング、浮動小数点数のNaNなどをサポートするが、AVX（Advanced Vector Extensions）はサポートしない。

バージョンの違うmacOSを複数インストールできる

　Apple Silicon Macは、起動システムに特徴があり、iOS、iPadOSデバイスのセキュアブートに加え、複数のmacOSをインストールすることが可能で、バージョン違いのmacOSも複数インストールできる。古いバージョンのmacOSを動作させることも可能になる。

Apple Silicon Mac

　また、最新Macで利用可能なmacOSリカバリの手順も継続される。

Apple Silicon Mac

　Macの起動も、電源ボタンあるいはTouch IDボタンによる起動だけでなく、macOS復元から起動する「command + R」といったキーコンビネーション起動も継続サポートされる。

macOSリカバリ

　新しいUIのStartup Managerを使って起動ディスクの選択や、システム環境からの起動ディスク選択、新しいMac共有機能（Mac Sharing Mode）なども利用可能になる。これはターゲットディスクモードを置き換えるものだ。

　Intel Macの場合、複数ボリュームにインストールしたmacOSでセキュリティポリシーレベルを下げると、macOSシステム全体のセキュリティレベルが下がってしまうが、Apple Silicon Macの場合は、1つのmacOSシステムに対するセキュリティポリシーレベルだけを下げるといったことが可能になる。

セキュリティポリシー

　ログインは、FileVault、VoiceOver、スマートカード認証なども継続して使用できる。

ログイン

　ハードはiPhone、iPadなのに、できることはMacそのものというのがApple Silicon Macということだ。