「スマートブラジャー」でストレス計測、繊維メーカーが事業化へ 客室乗務員には高評価:体当たりッ!スマート家電事始め
繊維メーカーのミツフジがスマートブラジャー「iBRA」を開発。体形をスマートに見せるものではなく、着用した人の生体情報を取得し、ストレスなどを可視化するスマート(賢い)なブラジャーだ。
繊維メーカーのミツフジが大手アパレルメーカーのワコールと組み、働く女性のためのスマートブラジャー「iBRA」を開発した。体形をスマートに見せるものではない。着用した人の生体情報を取得し、ストレスなどを可視化するスマート(賢い)なブラジャーだ。
iBRAは、着衣の形をしたウェアラブルデバイスだ。裏地には、ミツフジが開発した導電性のある特殊繊維「AGposs」(エージーポス)を編み込んだ細いバンドがある。AGpossはナイロンやポリエステルの表面に銀メッキを施した繊維。一般の銀練り込み繊維やフィルム状銀糸よりも銀を含む量が圧倒的に多く、安定した導電性が得られるという。
AGpossで作った電極は、心臓の鼓動などによる体表面の電位変化を捉えるセンサーの役割を果たす。病院にある心拍計などと異なり、肌触りが良く伸縮性も高いため、装着したまま行動できてストレスにもなりにくい。さらにブラジャーの形としたことで「ユーザーの肌に密着し、心臓に近い位置で心拍など正確な生体情報を取得できる」としている。
ワコールのノウハウも注入し、ワイヤーのない着け心地の良さを実現。左右一体型のパッドを内蔵し、立体感のあるシルエットになるという。アウターに透けにくいように色はスキンカラーとした。
電極はBluetoothトランスミッターを介してスマートフォンと接続。専用アプリの「hamon」はAGpossの捉えた情報を独自アルゴリズムで解析し、「ストレス」や「眠気」「暑熱リスク」といった形に変換、グラフなどを使って分かりやすく表示する。
キャビンアテンダントによる実証実験
ミツフジは、2019年にPeach Aviation(ピーチ航空)と共同でスマートブラジャーの実証実験を行った。AGpossで計測した生体情報を元に客室乗務員の「ストレスレベル」を定量化したところ、ストレスと仕事の生産性やモチベーションには相関関係が見られたという。検証は医師監修のもとで行い、企業のメンタルヘルス対策を手掛けるメディカル・ビー・コネクトがデータ解析を担当した。
実証実験に参加した客室乗務員を対象にアンケートを実施したところ、iBRAのようなウェアラブルデバイスを活用して自身の生体情報を把握することについてはポジティブな反響があったという。
ミツフジでは、AGpossをスポーツタイプの女性用下着や筋力トレーニング用のコンプレッションウェア、介護用衣類などへに応用する研究を進めている。今後、hamonブランドで展開する考えだ。
また繊維メーカーでありながらハードやソフト、ネットワークのエンジニアを社内に多数抱えているのもミツフジの強みだという。いずれは商品や業種ごとにカスタマイズしたクラウドソリューションとし、働く人の健康管理をワンストップで請け負える事業に育てるとしている。
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