ソフトバンク、コロナ禍の春は「うまく乗り切れた」 「秋から5Gスマホ祭り」と宮内社長
ソフトバンクが2021年3月期第1四半期の連結決算を発表。宮内謙社長は売上高の大幅な落ち込みを予想していたが、テレワーク需要の影響やeコマースの好調で増収を維持できたとしている。秋からは5G端末の展開を本格化するという。
「コロナ禍で相当厳しい状況になるだろうと思っていたが、第1四半期は割とうまく乗り切れた」──ソフトバンクの宮内謙社長は、8月4日の決算会見でそう話した。5月の時点では、コロナ禍の影響で2021年3月期第1四半期の売上高が大きく落ち込むと予想していたが、実際はテレワーク需要の影響やeコマースの好調で増収を維持できたためという。今後は5G端末の販売を本格化する方針で、宮内社長は「秋から5G祭りが始まる」としている。
ソフトバンクが同日に発表した21年3月期第1四半期(20年4〜6月)の連結決算は、売上高が1兆1726億円(前年同期比0.7%増)、営業利益は2799億円(同4.1%増)、最終利益は1521億円(同7.7%減)と増収減益だった。最終減益となった要因は、前年同期にセキュリティ企業のサイバーリーズン・ジャパンの株式を売却した反動という。
セグメント別にみると、個人向け通信サービスなどの「コンシューマ事業」は売上高が6254億円(前年同期比5.0%減)、営業利益が1894億円(同8.0%減)。コロナ禍の影響で4〜5月の端末販売数が落ち込んだため不調だったという。ただし、宮内社長によれば6月以降の端末販売数は回復しているため「通期で見ると増益するだろう」としている。
ソリューション提供など法人事業は売上高が1625億円(前年同期比5.2%増)、営業利益が313億円(同11.1%増)だった。テレワーク需要により、代理販売しているWeb会議ツール「Zoom」の新規ID開通数が20年3月期第4四半期(20年1〜3月)の約48倍になったことなどが影響したという。
eコマースや決済・金融などの「ヤフー事業」は、売上高が2739億円(前年同期比14.8%増)、営業利益が506億円(同40.0%増)と好調だった。「PayPayモール」などeコマースの利用が増えたためという。ZOZOの子会社化で売上高が増えたことも影響した。
今後は5G端末の展開に注力する。「まだ発表はしていないが、秋くらいからローレンジ、ミッドレンジ、ハイレンジの5G対応端末がどっと出てくる。そうすると、一気に4Gから5Gへの転換が進む」(宮内社長)という。
同社は23年3月期までに、スマートフォンの累計契約数を現行の約2450万件から3000万件に引き上げる目標を掲げている。今秋に始める“5G祭り”などにより、このうち6割を5Gスマホの契約にする計画だ。
23年3月期には営業利益1兆円目指す
5G端末の普及後は、法人事業でのIoTソリューションの提供を強化する方針。ヤフー事業で決済サービス「PayPay」から「PayPayフリマ」への送客を促進するなど、eコマースにも注力する。23年3月期の通期連結業績では、売上高を5.5兆円、営業利益を1兆円、純利益を5300億円に引き上げることを目指す。
宮内社長は「コロナ禍がずっと続いた場合、営業活動が停滞するのではないかと不安視していた。実際はそんなに停滞せず、むしろデジタル産業にとってはプラスであると体で感じた」と前向きな姿勢を示している。
21年3月期通期の連結業績予想は、売上高が4兆9000億円(前期比0.8%増)、営業利益は9200億円(同0.9%増)、最終利益は4850億円(同2.5%増)のまま据え置く。
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