Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
東京大学の研究チームが開発した「Dynamic Motor Skill Synthesis with Human-Machine Mutual Actuation」は、人間が投げる動作に応じて、最適なタイミングでボールをリリースするデバイスだ。
このシステムは発射物を保持し解放するハンドヘルドデバイスと、デバイスから放つタイミングを制御するアーキテクチャで構成される。
ユーザーが投げている途中で発射物の軌道をリアルタイム予測し、その予測結果が希望する軌道と一致したタイミングで放出する。軌道が一致しない場合はそのまま保持し続ける。
このようにして、ユーザーは目標に向かって投げ、それを命中させることができる。
ハードウェアは、慣性計測装置(IMU)とモーター、発射物を保持するためのグリッパー、そして追跡用マーカーで構成。周囲には複数台の光学式モーションキャプチャーカメラを配置し、デバイスの動きをリアルタイムに追跡する。
被験者が間違えて目標より遠いところに投げようとしたら、その動きは抑制された。このように、人為的エラーを修正できる可能性も提示している。
研究チームはロボットが人体の動作と同期して作動するアプローチを「Human-Machine Mutual Actuation 」(HMMA)と呼んでおり、今後は別の角度から検証していきたいという。
関連記事
- 車椅子がロボットと合体 遠隔操作でユーザーを助ける「SlideFusion」
ロボットをアバターで操作するが、車椅子利用者はいちいち指示を出す必要がない。 - 食事をもれなく記録するメガネ「FitByte」 カーネギーメロン大学開発
食べる動きや咀嚼、喉の振動を検出するメガネ型デバイス登場。 - 手の爪使ってタッチ入力する「Nailz」 29通りのアクションを片手だけで
ちょっと変わったネイルアートのようにも見えるタッチセンサーを駆使して入力する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.