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「便利すぎる」──政府の接触確認アプリを補完する3密チェッカー、19歳学生が2週間で開発 「バグと試験が重なって大変だった」(2/2 ページ)

自分がどれくらい“3密”の状態にいるかを判定するスマホアプリがある。19歳の学生が2週間で開発したという。ネットでは「周囲のCOCOAインストール数が分かるのすごい」「よくできている」と評価する声もある。開発者にアプリを作成した意図や経緯を聞いた。

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手探りのアプリ開発 「徹夜はよくする」

 アプリを作る過程で大変だったのは、Bluetoothを使いCOCOAをインストールしているデバイスを測定する機能の実装だった。当初はCOCOAの信号をうまく取得できず、アプリ上で3密を測定しながら、並行してCOCOAのインストール済みデバイスであるかを判定することが難しかったという。

 ラビットプログラムさんは「同じようなアプリは誰も作っていなかったので参考になる情報がありませんでした。1人で手探り状態だったので、トライ&エラーの繰り返しでデバッグがとても大変でした」と振り返る。

 リリース後も試練が続く。アプリに不具合(バグ)は付きものだが、表示されるはずの東京都の最新感染者数などのデータがエラーで表示できないという大きな不具合が発生。それまでは都の公式サイトからデータを取得していたが、都のサイトの仕様が変更されるとその都度アプリを修正する必要があった。

 この不具合には、都のデータを基にアプリの表示に必要なデータのみをまとめたファイルを自身のサーバにアップロードし、アプリからそのサーバに接続するという方法で対処した。「多くの方にこの機能を使っていただけていたようで、ちょうど学校の期末考査と重なってしまい焦りました。不具合でアプリの評価が悪くなってしまうのを恐れ、1日でも早くアップデートできるように全力を尽くしました」と話す。

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Twitterなどの問い合わせにも1人で対応

 他にもアプリが強制終了したり、密接するデバイス数がカウントされなかったりするバグが起きたときも、身近にアプリ開発に精通する人がいないため1人で黙々と対応したという。「解決方法を調べても英語で書かれたサイトばかりで全然分からない不具合が起きたとき、1人だと誰にも聞けずやめたくなってしまうことがよくあります」と正直な思いも吐露。「途中で作業の区切りをつけることが難しく、できるだけ早く不具合を直して解放されたいので徹夜で作業することはよくあります」と続ける。

 粘り強くアプリ開発を続ける理由は、自分が好きなプログラミングで一度やると決めたことは諦めたくないという思いがある。作業がなかなか進まない場合はリリース後にSNSなどで寄せられる反響を想像。そうすると、どれだけ難しくても自然と頑張ろうと思えるという。

 「思い付いた機能を作り、形にできることがアプリ開発で楽しいところです。次にどんなアプリを作るか、どうしたら改善できるかなど仕組みについて考えることも楽しいです」(ラビットプログラムさん)

 アプリを作ることが楽しくてたまらない――純粋な思いがうまくいかないときや行き詰ったときを支える根底にはあるようだ。

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3密チェッカーの仕組みをQiitaで公開している(一部抜粋)

今後はiOS版にも挑戦

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最新版ではCOCOAの普及率を確認できる機能も(有料で提供)

 今後も3密チェッカーのアップデートを進め、47都道府県全ての新規感染者数や入院患者数などを表示する機能や、測定したデータを共有し離れた場所の密の状態がリアルタイムに分かるような機能を開発する予定だ。

 iOS版の開発にも挑戦する。要望を受け、すでにプロトタイプを作ったこともあるという。学校生活と並行する中で「今はAndroid版で時間的に精いっぱい」というが、「3密の測定ならiOS版も作れるかもしれないので頑張ってみようと思います」と意欲を見せる。

 新型コロナウイルスの終息が見えない中、「COCOAに物足りなさを感じる人や普段の生活から感染に気を付けたいと思っている人に3密チェッカーを使ってほしいです」とラビットプログラムさん。「1日の終わりに結果を見返すと、自分がいつ、どこで、どれだけ密の状態にいたかを確認できます。アプリで気を付けた方が良いリスクを知ってもらうことで、明日からの行動について考え直すきっかけになればと思います」と語った。

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