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AIを“導入しただけ”の企業がワークマンに勝てないワケマスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(2/3 ページ)

作業着の専門店であるワークマンがデータ分析で売上を伸ばせた一方で、AIブームに乗っただけの企業が成功できなかった理由とは。マスク・ド・アナライズ氏が解説します。

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 教育面にも力を入れ、入社2〜3年目の若手社員全員に対しデータ分析の講習を実施。入社5年目以降の中堅社員にも任意参加の研修を行いました。部長昇進にはデータ分析スキルを必須条件としています。月に1度はデータ分析の成果を発表する機会を設け、土屋氏も必ず出席しているといいます。

 会社としてもデータ分析を促す姿勢を見せれば、現場もやる気を出すというもの。こうして社内全体でデータ分析を推進することでスケールメリットを出せたことが、売上増という実感できる成果につながったということです。


成功するワークマンと失敗する他社

「乗っただけ」の企業は何をしていたか

 対してAIブームに乗って失敗した企業では、ここまでの取り組みは見られません。

 ヘッドハンティングで獲得した人材が1人で高価なAIツールで分析することはあれど、全社員がExcelで分析しているという話は聞きません。AIに強い人材を1人増やしても、社内全体での取り組みには敵いません。

 組織の課題として、経営陣におけるCIOの不在や過度な外注依存により、社内システムの実情を把握できない問題もあります。こうした企業はAIの学習に必要なデータベースが整備されておらず、その準備作業だけで開発期間の大半を占める問題もありました。

 データ分析チームを立ち上げた企業は数あれど、売上を2倍にしたのはワークマンだけという事実が物語っています。


ワークマン対AIマン

ワークマンにできて他の企業にできなかったワケ

 かつてのワークマンは郊外にある作業服専門店であり、吉幾三さんのローカルCMが印象的でした。それが今やデータ分析を活用した成功企業なのです。なぜワークマンに出来て、他の企業で出来なかったのでしょう?

 ワークマンと同じことをすれば売上を伸ばせるという単純な話ではありません。ワークマンが成功したのは、同社ならではの課題やビジネスモデルや苦労があり、それに対して試行錯誤を繰り返しながら、最適な方法を見つけることで成功したからです。

 AIブームに乗った企業が失敗した原因は、本質を理解していなかったからです。AIに対する過大な評価や偏った一部の成功事例を盲信して、自分で調べずに理解しないまま、「AIなら出来る」という根拠のない思い込みから、外注や部下に指示を出すだけという姿勢が招いた結果です。

 AIを導入検討する企業のほとんどは、「他社の事例はあるか?」と考えます。

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