キーボードのファームウェアって? 役割とその仕組みを知ると自作キーボードがもっと楽しくなる:ハロー、自作キーボードワールド 第8回(4/4 ページ)
自作キーボードの機能部分を司る「ファームウェア」。ファームウェアでどんなことができるのか、どうやって作るのかを紹介していく。
ファームウェアの作り方 プログラマー的環境構築法からマウスクリックだけで完結する方法まで
多彩なQMK Firmwareの機能をざっくりと紹介したが、実際にキーボードで動作させるために具体的にどのようなことをすればいいかを最後に紹介したい。
QMK Firmwareは活発な開発が行われているため、最新の情報については公式ドキュメントを参照してほしい。
最もプリミティブで拡張性の高いのは、GitHubで公開されているソースコードを自分のPCに取り込み、ビルド環境を整えて手元でビルドし、キーボードに書き込むバイナリファイルを生成する方法だ。
普段からGitHubなどを使い慣れている人やプログラミングに慣れている人にはこちらがおすすめだ。ビルド環境もLinuxかUNIXに準ずる環境があれば、専用に用意されたスクリプトで簡単にセットアップできる。
プログラミングに触れたことがない人や、手っ取り早く組み立てた自作キーボードキットを動かしたい場合にはブラウザ上でファームウェアをビルドできる「QMK Configurator」が便利だ。
QMK Firmwareに登録されているキーボードであればQMK Configuratorを利用可能。ブラウザ上でマウスを使い、ポチポチとキーマップを設定してビルドボタンを押すだけでファームウェアを生成できる。
生成したファームウェアのバイナリファイルは、コマンドラインツールやGUIの書き込みツールである「QMK Toolbox」でキーボードに書き込めば完了だ。書き込み方法については各自作キーボードのビルドガイドを参照してほしい。
「中身」を作り込むことも自作キーボードの魅力
今回は本連載で初めて、キーボードの中で動いている「ファームウェア」について紹介したが、自作キーボードはハードウェアとして完成した後もキーマップやソフト的な機能の拡張で楽しめるのがもう一つの魅力だ。
なんといっても上から下まで自分好みに作り込めるので、ファームウェアに手を加えることができれば少し気に入らないキーの配置をちょっとずつ変えて自分の手にあったキーマップを目指すことができる。
最近ではQMK Firmwareの他に、「VIA」というファームウェアも登場している。こちらは対応するキーボードであれば市販のプログラマブルキーボードのように専用ソフトを使ってリアルタイムにキーマップを編集できるなど、ユーザー側の使いやすさが追求されている。
自作キーボードはその見た目が注目されがちだが、キーボードの中身の裏方的存在であるファームウェアの動向にもチェックしてみてほしい。
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