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「吊るしで十分ですよ」 M1搭載MacBook Airを手にしたデザイナーは言った(2/3 ページ)

Macを使ったDTPの黎明期から活躍しているエディトリアルデザイナーに、M1搭載Macの印象を語ってもらった。

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クリエイター必須のアプリはきちんと動くのか?

 M1プロセッサ搭載MacにおけるAdobe CCアプリの最新バージョンは快適に動く。ただしこれには条件がある。Apple Silicon版Photoshop β版のように、動作安定度にリスクがあることを承知した上で使用することだ。

 環境移行ツールで以前の設定やCCアプリケーションを引き継ぐことも控えた方がいい。所有するAdobe IDのアカウントからログインしてアプリケーションをダウンロードし、クリーンインストールで進めてほしい。さらに、ワークフローやクライアントの事情でバージョンの縛りがある仕事をM1搭載Macに置き換えるのも慎重にしてほしい。締め切りを抱えたプロのクリエイターにとっては、あくまでも今後のために使いこなす「別のもう1台」として運用するのが賢明である。

 これらの前提条件をクリアして、このMacBook AirでAdobe CCアプリを動かすことはとても愉快な体験だ。最初の起動や終了ではやや時間がかかるものの、立ち上がってしまえばCore i3のYプロセッサ搭載MacBook Airと同等に動作し、総合的な体感速度はメイン機のMacBook Pro 15インチ(late 2016)にさほど劣らない。

 特に筆者が最も常用しているInDesign CC 2021は比較的動作が安定しており、アプリが起動してデータを読み込み終わった後はメイン機を使うより快適なくらいだ。大量の画像高解像度プレビューは少しもたつくが、それでも出先のサブ機としては十分すぎるほどの実用レベルである。Rosetta 2はIntel版のAdobe CCアプリケーションの動作に対して、とてもいい仕事をしている。

 もっとも、メモリが8GBなので多くのCCアプリを同時に起動して使うとレスポンスは低下する。同時起動するアプリは2つまでにして、ページ数の多いページレイアウトデータをInDesignで扱ったり、PhotoshopでRAW現像を数十枚同時にバッチ処理するといったタスクは1つのアプリ使用で抑えるほうが快適だろう。

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Adobe CCのデスクトップアプリ/モバイルアプリを管理するAdobe Creative Cloudアプリケーションは2020年12月2日現在でβ版となっている
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Intel版のPhotoshop CC 2021(上)と開発中のApple Silicon版Photoshop(Beta)
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Adobe Creative Cloudアプリケーションにある「ベータ版」の表記にポインターを重ねると、開発中であることと、Apple Siliconの機能は限定的であることを記している
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インストールされたPhotoshop CC 2021はM1プロセッサのGPUを利用できる
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Lightroomのインストールダイアログ。CC2021の主要なデスクトップアプリはM1プロセッサ搭載のMacBook AirにIntel版のCCアプリケーションをインストール可能で、Rosetta 2によって実行できる
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Rosetta 2によってM1プロセッサでもCCアプリケーションは実行されるため、2018年版でアップデートが終了したMuse CCでも動作した。動作保証外バージョンは自己責任で使用の可否を判断してほしい

 なお、モリサワのMORISAWA PASSPORTについてはMac OS X 10.15までの対応はアナウンスされているものの、対応インストーラーはIntel版として動作する。インストーラーそのものは動作するが、メインマシンのライセンスを解除して移行するのはまだ控えたほうがいい。フォントワークスLETSに関してはMac OS X 10.15までの対応なのでこちらも同様だ。しばらくはAdobe CCをインストールしたときに使えるAdobe Fontsや、macOS標準のOpenTypeフォントなどをメインで活用することになる。

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