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コロナ禍のJクラブ経営危機 “投げ銭”や“クラファン”に活路を見出したメルカリ鹿島の2020年(1/4 ページ)

Jリーグの2020年シーズンが終わろうとしている。今シーズンはコロナ禍での長期中断で、各チームにとって難しいシーズンとなった。2019年にメルカリが経営権を取得し、クラブ経営に参画した鹿島アントラーズも同様だが、“投げ銭”や地域のDX化など新たな収益モデルに挑戦をしたシーズンでもあった。クラブトップが今シーズンを振り返る。

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 「悪かった部分もあったが、将来的にやろうと思っていたことが前倒しでできた」――。このほど行われた報道陣向けのイベントで、鹿島アントラーズの社長を務める、メルカリの小泉文明会長は2020年シーズンをこう振り返った。

 今シーズンは開幕直後に新型コロナウイルスの感染拡大で異例の長期中断が発生。売り上げが大きくダウンした。そこで着手したのが、クラウドファンディングなどITを使った収益モデルや、地域のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化だ。クラブのトップが激動の2020年シーズンの取り組みや今後の展望を語った。

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2020年シーズンを振り返る小泉社長

 メルカリは2017年4月に鹿島アントラーズのオフィシャルスポンサーになったことを皮切りに、18年にユニフォームスポンサー、そして19年8月にはクラブの発行済み株式のうち6割超を買い取り、日本製鉄から経営権を取得した。

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メルカリと鹿島アントラーズの歩み

 メルカリが経営権を取得してから初のシーズン開幕となった2020年シーズン。開幕早々、新型コロナの脅威がJリーグを襲い、約4カ月間の中断を余儀なくされた。試合が開催できないことで観戦チケットによる入場料収入がなくなり、観戦時のグッズなどの物品販売、そしてスポンサー収入も減った。昨シーズンは約70億円の売り上げを誇ったが、主要な収入源が大きなダメージを受け、クラブ経営は危機に瀕した。

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鹿島アントラーズの売り上げ

 小泉社長は「非常に苦しい部分だが、苦しいといっていても何も進まない。ここをどうデジタルでやっていくのかということをこの半年間を模索してきた」と語る。

「投げ銭」やクラウドファンディングに活路 地域貢献も

 リーグ戦の中断期間中、デジタルを使った収入源として取り組んだものの一つが「ギフティング」(投げ銭)だ。5月にサポーターと現役選手、OBらとともに過去の試合をアーカイブで観戦するオンラインイベント「鹿ライブ」を開催。スポーツアプリ「Player!」のギフティング機能を使い、思い出話などに課金してもらう仕組みだ。鹿島アントラーズがJクラブとして初めて取り組み、その後、各チームに広がった。

 リーグ戦再開前にはYouTubeで練習試合をライブ配信し、スーパーチャット(投げ銭)をしてもらう企画にも取り組んだ。

 クラウドファンディングも実施。45日間で約1億3000万円の資金が集まった。

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コロナ禍の取り組み

 コロナによる経営危機はクラブだけではない。リーグ戦が中断したことで本拠地がある茨城県鹿嶋市など街の経済も大打撃を受けていた。このため、鹿嶋市と周辺自治体を含めた「鹿行地域」の食材を届けるプロジェクトを始動。

 クラブがECサイトを立ち上げ、クラブのSNSなどを活用し、地域の事業者のマーケティングをサポート。売れ行きは好調で、中には「売れすぎて困っている」などのうれしい悲鳴も上がっているという。

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ECサイトの取り組み
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