地上波進出、ハイエンドキーボードの流行──2020年の自作キーボード振り返り:ハロー、自作キーボードワールド 第9回(2/2 ページ)
2020年には「マツコの知らない世界」でも紹介された自作キーボード。2020年の主なトピックやトレンド変化を振り返る。
キーボード向けカスタムケーブルの登場
自作キーボードだけでなく、最近のメカニカルキーボードでもキーボード本体とUSBケーブルが分かれた構成のものを見ることが多くなった。ケーブルが分かれていると、ケーブルが断線したときにキーボードを丸ごと捨てなくていいなどの利点がある。そして、ケーブルが着脱式になったことで、ケーブルを自分好みに変えて楽しむこともできるようになった。
このため、自作PCの電源の配線に使うカスタムスリーブケーブルのように、キーボードのUSBケーブルをスリーブや金属コネクターで装飾した「カスタムケーブル」が多く登場した。
これまでもキットの形で存在はしていたが、20年に入り国内のショップで海外製のカスタムケーブルを取り扱いし始めた他、国内でカスタムケーブルを制作する専門ショップも登場した。
ケーブルを変えたからといって打鍵が速くなることは無いが、ハンドメイドの「アルチザンキーキャップ」のように、デスク上でキーボードとともに映えるケーブルが増えてきた。
キーボードの2021年のトレンドは?
20年のキーボードも国内外で大きく動く年となった。
海外の方面を見ると、主流となるカスタムキーボードの配列は、これまではHHKBに近いコンパクトな60%配列だったところ、右端にキーを数個増やした65%に推移してきているのが興味深い。
日本語配列では、バックスペースやエンターキーより右側にキーが増えるのはミスタイプが増えて好まれない傾向がある。直近では日本HPが新型ノートPCで、日本向けに右端一列を削った配列を採用したことが記憶に新しい。一方で英語配列ではエンターキーなどの横幅に余裕があるためか、キー数に余裕のある方が好まれるのかもしれない。
一方で日本でも配列のトレンドに変化が出てきた。これまでは左右分離型でエルゴノミックな配列が大半を占めていたが、一周回って一体型のキーボードも増えてきた。一体型といっても一般的なキーボード配列ではなく、格子上の配列や、親指にキーを増やした配列など、独自色も引き続き持ち合わせている。今後も日本の自作キーボードはユニークなものが多く見られそうだ。
今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、キーボードを持ち寄るイベントがほぼ中止や不開催となってしまった。キーボードの「触ってみないとわからない」という要素は昨今の情勢と致命的に相性が悪い。個性あふれるキーボードたちにまた触れられるように、コロナ禍が早く収束してほしいと強く願う。
リアルイベントで他人のキーボードに触れる機会が少なくなった一方で、SNSなどで写真とともに自慢のキーボードを紹介する動きも増えたと感じる。写真映えするようにキーボードをカスタマイズしたり、打鍵音を動画としてアップしたりと、皆思い思いの方法でキーボードを披露している。カスタマイズのためのパーツを集めてより深い沼に踏み込んだり、キーボードを撮影するためのカメラを求めて別の沼に足を突っ込んだりするなどの動きがあった2020年のキーボードコミュニティーだが、21年も活発に動きそうだ。
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