ニュース
“ヘリ基地局”で通信エリア構築、auの通信網に接続 遭難者の連絡を支援 KDDIが実験
KDDIが、小型携帯電話基地局を積んだヘリを使って構築した通信エリアと、既存の商用通信網を接続する実験に成功。得た知見は、災害時の救助活動に役立てるとしている。
KDDIは1月21日、小型携帯電話基地局を積んだヘリコプターを使って構築した通信エリアと、既存の商用通信網を接続する実証実験を行ったと発表した。参加者はヘリが構築した通信エリア内でau回線を利用し、離れた場所にいる人と通話やSMSの送受信ができたという。実験で得た知見は、災害時の復旧・救助活動に役立てるとしている。
実験は1月15日、鹿児島県薩摩川内市の港で行った。ヘリコプターには合計約7kgまで軽量化した無線設備とモバイルコア設備を積んで飛行し、上空から海上に電波を発射。ヘリ周辺に直径約2kmの通信エリアを構築した。地上には車載型基地局を載せた専用車両を配置。この基地局を経由して、ヘリ周辺の通信エリアと商用通信網を接続した。
参加者はスマートフォンを持って船に乗り、海上の通信エリア内で端末を操作。au回線を利用し、離れた場所にいる人に連絡できることを実証した。ヘリ内のスタッフは、参加者のスマホが発する電波を検知し、端末の位置や通信状況を取得した。
KDDIはこの技術を活用することで、船が遭難した際などに、上空から通信エリアを提供したり、乗組員の位置を推定したりといった支援が可能になるとしている。
KDDIは2019年にもヘリコプターを基地局として活用する実験を行い、構築したエリア内での通信や、携帯の位置情報を取得することに成功していた。
関連記事
- 千葉県沖に船舶型基地局、KDDIが導入 沿岸部の通信障害を解消
KDDIが、台風15号の影響により復旧が遅れている千葉県沿岸部で携帯電話サービスを提供するため、館山市沿岸に電話基地局を積んだ船を停泊させている。 - ドコモ、世界初「窓の基地局」を都内ビルに導入 5G版も開発中
NTTドコモが都内のオフィスビルで“窓の基地局化”を開始。携帯電話向け4G LTE通信のサービスエリア拡充に導入し、半径約100〜200メートルのエリア化を実現した。5G版の開発も進めており、20年度中に実用化する計画。 - ドコモ、ダイドー自販機に5G基地局 年内に設置を開始
NTTドコモ関西支社が、ダイドードリンコの自動販売機の上部に5Gアンテナを設置し、5G通信のサービスエリアを広げると発表した。2020年内に始める。 - 街の電信柱が各社共用の「5G」基地局に 東電、KDDI、ソフトバンク、楽天が本格検討へ
通信事業者各社が5G通信基地局の設置場所として、電信柱を共用する仕組みの実験がスタートする。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.