メルカリ、高額出品のアラート機能を実装へ マスク、PS5など“悪質出品”に対抗 個人間取引の原則を策定
メルカリが、高額出品物に対して購入者へ注意喚起を行う機能を実装する。フリマアプリなど個人間取引の在り方を定めた原則も公開した。
マスクやアルコール消毒液の高額転売が相次ぎ、後に法規制されたことなどを背景に、フリマアプリ大手のメルカリが転売対策に乗り出す。同社は1月27日、相場と懸け離れた出品の商品ページで注意喚起を行う機能を今春から夏にかけて実装すると発表した。
メルカリ上の検索ページや商品ページで、該当商品の価格が急騰していることを通知するアラートを表示する機能を追加する。規約上の出品禁止物でなくても、需給のバランスが著しく崩れていると同社が判断した場合は、注意喚起の対象となるという。
高額取引が予想される商品の発売前後には、購入者への注意喚起を同社のブログなどでも実施。メーカーサイトで価格を確認するなどの注意を呼び掛け、購入者の冷静な判断や購買行動につなげたいとしている。
一方、出品者に対するアラート通知は、出品物が相場と懸け離れた価格であっても現時点では行わない。メルカリの田面木宏尚氏(上級執行役員メルカリジャパンCEO)は「一次流通の事業者とも連携しながら、まずは購入者への注意喚起を行う」と説明している。
商品を販売する一次流通の事業者間でもメルカリに対する要望が「自由経済である以上、高額取引は問題ないが組織的な買い占め行為は避けたい」「価格高騰自体がNG」など多様であるため、事業者ごとのニーズへの対応を検討しながら、今後の出品者への対策も考えていくという。
フリマアプリの「原理・原則」を策定
メルカリがこうした機能を提供するベースには、同社が同日に発表した、フリマアプリの運営方針や個人間取引の在り方を定めた「マーケットプレイスの基本原則(Principles)」がある。20年7月に設立した、外部識者を含む有識者会議での議論を踏まえ「既にある利用規約やガイドラインの基となる、基本的な考え方をまとめたもの」(田面木氏)という。
基本原則では、(1)安全であること、(2)信頼できること、(3)人道的であること――の原則を策定。(1)は、身体・生命への危害が加わる可能性の高い商品や、違法・犯罪行為につながる可能性のある商品などを規制することで、安全な個人間取引の場を提供するとした。
(2)は、商品を偽装したり手元に商品がないのに出品したりする行為を禁止し、出品者と購入者が信頼関係を築けるような場とすると定め、(3)は、人種、民族、宗教、性別などの差別を助長する取引の他、誹謗中傷や脅迫行為などを禁じ、人道に反することのない環境が担保されることとした。
有識者会議の座長は、企業倫理学を専門とする、慶應義塾大学商学部の梅津光弘准教授が務めた。他に国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授を含む外部有識者7人に加え、メルカリからは田面木氏、山田進太郎氏(代表取締役CEO)なども参加。これまで6回の議論を行い、マスクの高額転売などコロナ禍で発生した問題などを整理し、ネット上の個人間取引や二次流通の機能と役割について検討を重ねたという。
こうした議論と策定した基本原則を踏まえ、以前から問題視されていた市場価格を大幅に超える高値で取引される出品への対策を強化する。具体的な商品名は明言を避けたが、一次流通の事業者からの意見を取り入れながら機能の実装に向けて準備を進めるとしている。
今後は、自社内に限らず業界全体への働きかけも行い、基本原則の浸透を図る。まずはアマゾンジャパン、ヤフー、楽天なども参加する「オンラインマーケットプレイス協議会」でこれまでの議論や基本原理の説明を行い、消費者が安全に取引できる環境作りに取り組むとしている。
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