無調整でもほぼ人間 AI歌声合成ソフト「CeVIO AI」の実力(3/3 ページ)
歌声合成ソフト「CeVIO」が、登場から約8年たち、深層学習技術を取り入れ「CeVIO AI」としてリニューアルした。ソフト上で楽譜を打ち込んで再生ボタンを押しただけで人間らしい歌声を合成できる同ソフトを触ってみた。
AIの歌声は好きなだけ手直し可
人間らしさを上げたCeVIO AIだが、ソフトウェアのGUIは8年前からあまり変わっていない。当然、改善は続いている。CeVIOは無料版リリースの後、13年9月に製品版を発売。その後6回の大規模アップデートで、機能追加や64bit対応、操作性の拡張などを行っている。それでも基本の部分は保持し続けているため、CeVIO AIになっても、ユーザーはこれまでとほぼ同じ操作で使えるようになっている。
ここまで、楽譜を入力して再生ボタンを押すだけで人間らしく歌うという話をしてきたが、それだけではツールとして不十分だ。CeVIO AIには、気になるところに手を加えてブラッシュアップするための機能が十分備わっている。
音素の長さを視覚的に操作できる「タイミング」、音量や音程を手描きできる「ダイナミクス」「ピッチ」、ビブラートを作る「VIA」「VIF」や、声質をコントロールする「ALP」など、シンプルながら必要な機能はそろっている。AIが提示してきた歌声が気に入らなかったとしても、自分の手でいくらでも加工できる。冒頭の曲を手作業で編集するとこうなる。
何もしなくても満足いく出来なら編集しなくてもよく、逆に全て自分色に染めてもいい。自動で答えを出すAIの利点と、ツールとしての操作性のバランスが重要だ。
CeVIO AI関連製品は、結月ゆかり 麗を皮切りに、VTuber「花譜」をモデルにした「可不」、歌手のLiaさんをモデルにした「IA」などが年内に登場する予定。それぞれが個性的な歌声を届けてくれるだろう。
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