コクヨの紙とペン「PERPANEP」で改めて考えた、「書き心地が良い」とはどういうことだろう:新連載「分かりにくいけれど面白いモノたち」(5/5 ページ)
ベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説する新連載です。
ツルツル、さらさら、ザラザラを線で示した表紙デザインも、さりげなく、老若男女、TPOを問わず使えます。このシリーズのために作られたオリジナルの紙を使って、この製本の仕様なら、990円も納得の品質です。
3種類のペンは、軸のデザインこそ、このシリーズのコンセプトに合わせた白一色にPERPANEPのロゴで統一されていますが、中身は、実は万年筆がプラチナ万年筆のプレピー、水性ゲルインクボールペンがゼブラのサラサクリップ、サインペン的なファインライターはコクヨのオリジナル製品と、それぞれが別メーカーのものになっています。しかし、プレピーと言えば、低価格ながら、そのタフでスムーズな書き味には定評のある実用性が高い万年筆。しかも、白軸のデザインがなかなか似合っていてカッコ良く、プレピーのファンからも注目されています。また、サラサクリップも裏抜けし難く発色も良い水性顔料ゲルインクボールペンのロングセラーであり国内シェアNo.1の名作です。紙とペンの組み合わせを提案するシリーズの筆記具として、ある意味、スタンダードともいえる製品を用意したのも、コクヨのうまいところです。
つまり、スタンダードなペンから入ることで、自分なりの組み合わせを見つける際の基準になりやすいということです。ファインライターも先を細くしたペン先で広い筆記角度を持たせていて、さらに、筆記部分が見やすい形状になっているなど、「書きやすさ」を考えて作られたもの。何より安価なので、3種類そろえたくなりますね。
「どの書き味が好きか」とか「自分にとってのベストの組み合わせ」といった、文房具マニア的な楽しみ方も、もちろん可能なのですが、それ以上に、したいことに合わせて筆記環境を整えられるシリーズとして、実用性を前面に出しているのが、この「PERPANEP」の最大の特徴であり、同時に、だからこそ、ちょっと分かりにくいものになっているのですが、実際に、書き比べてみれば、その人なりの、使いたい組み合わせが見えてきます。
そして、当然、その組み合わせは1対1である必要はないのです。ザラザラのノートに鉛筆と万年筆で絵を描きたい、というのももちろんありなのです。何となく、手書きのノートやメモにストレスがある方は、これを使うことで、そのストレスを解消できるかもしれません。
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