COCOA元請けのパーソルP&Tが1200万円自主返納 対応に疑問の声も
接触確認アプリ「COCOA」の不具合を巡り、アプリ開発の元請けであるパーソルプロセス&テクノロジー(パーソルP&T、東京都江東区)が受託金額の一部を自主返納すると発表。これに対し、Twitterでは疑問の声が上がっている。
接触確認アプリ「COCOA」の不具合について厚生労働省が調査報告書を公表したことを受け、アプリ開発の元請けであるパーソルプロセス&テクノロジー(パーソルP&T、東京都江東区)は4月16日、受託金額の一部に当たる1200万円を自主返納すると発表した。「国民に迷惑を掛けたことを重く受け止めたため」としているが、ネット上では返納の対応に疑問の声も上がっている。
自主返納するのは保守運用フェーズのプロジェクト業務の対価に相当する。同社は2020年5月、厚労省から約3億9000万円でCOCOAの開発と保守運用を受託。その後、日本マイクロソフト、FIXER(港区)、エムティーアイ(新宿区)に再委託した。さらにエムティーアイがディザイアード(千代田区)とイー・ガーディアン(港区)に再々委託をしていた。
業務の対価を自主返納するという同社の対応に対し、ネット上では「責任逃れではないか」と批判する声もある。責任の取り方は対価の返納ではなく業務の遂行であるべき、という意見だ。
こうした批判に対する説明を求めたところ、同社は自主返納する理由を「本アプリの開発や保守・運用の重要性と緊急性を十分に認識し、業務を遂行してきたが、4カ月間Android版アプリの不具合を発見できず、国民の皆さまにご心配をおかけしたことを重く受け止めた」とあらためて説明。不具合自体や業務の不履行に対する返金ではなく、国民に心配をかけたことへの対応とする立場を示した。
官公庁からの受託案件で今後同様の問題が発生した場合は「契約に基づき適切に判断していく」とコメントした。
関連記事
- 厚労省、COCOA不具合の検証結果を公表 業者任せ、多重下請けなどの課題が浮き彫りに
接触確認アプリ「COCOA」で新型コロナの陽性者との接触がユーザーに通知されない不具合が見つかった問題で、厚生労働省が検証結果を公表した。アプリの保守管理を巡り「適切にテストが行われなかった」「業者任せにしていた」などの課題が浮き彫りになった。 - COCOA、“多重下請け構造”解消へ 最新API対応も「重要なテーマ」
平井卓也デジタル改革大臣は接触確認アプリ「COCOA」の開発会社について、新たに公募した上で現在の多重下請け構造を解消したい考えを示した。米Appleと米Googleの共通規格である「暴露通知API」の最新版にCOCOAが対応していない件についても、新体制の下「非常に重要なテーマ」として対応を検討するとしている。 - COCOAの不具合、内閣官房内に検証チーム メンバーにCode for Japanの関代表ら
政府の接触確認アプリ「COCOA」で発生した不具合について、所管する厚生労働省が内閣官房IT総合戦略室(IT室)との検証チームを発足させると発表。メンバーにはエンジニアの民間団体コード・フォー・ジャパン(東京都文京区)の関治之代表などが名を連ねた。 - COCOA、修正版配布も課題残る 「Androidは1日1回アプリの再起動を」「iOSは最新の14に」
厚労省が接触確認アプリ「COCOA」の最新バージョンを配信。しかし、Android版では、正確に通知を受け取るためアプリを1日に1回程度再起動する必要があるなど、依然として課題は残っている。 - COCOA不具合の原因は「APIの使い方を誤った」 平井デジタル相、改善を約束 開発の下請け構造改善も
平井卓也デジタル改革担当相が政府の接触確認アプリ「COCOA」の不具合について、不具合発生の原因にアプリのAPI連携に問題があったことを説明した上で、今回の課題やデジタル庁を創設する意義などを改めて強調した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.