TSUTAYAとメルカリの“新刊は意外と高く売れる”POPで炎上、その真意とは? 運営元のCCCに聞いた(2/2 ページ)
「転売推奨」などと批判が集まり、4月28日付で中止となったTSUTAYAとメルカリのサービス。担当者に真意を聞いた。
「全ての仮説を検証するための実証実験だった」
CCCは「全ての仮説を検証するための実証実験だった」と強調する。その仮説のベースとなったのが、TSUTAYA店舗での中古本の取引実績と自社が抱える会員(T会員)から得たアンケートデータだ。CCCによると、TSUTAYA店舗での中古売買サービス「エコブックス」の買い取りサービス利用者の7割が「TSUTAYA店舗で半年以内に新刊を購入している」という実績があるという。
また、20年10月から11月にかけてT会員5000人(16歳〜79歳の男女)を対象にしたネットアンケートでは「店頭で新刊本のメルカリ査定価格が分かったら、新刊本を購入する機会が増える」と回答したユーザーが52.3%と、半数以上を占めた。
データから得た「メルカリと連携することで新刊本が売れる」という仮説が本当なのか。それを検証するために店舗を限定した実験だったというわけだが、思惑が外れ、炎上騒動に。CCCは「(Twitterなどで指摘されていた)万引きや転売の抑制についても実験するつもりだった」としつつ「店頭POPなどで著者や出版様への配慮が欠けた表現があり、不快な思いを与えてしまったことは事実。深く反省している」と謝罪した。メルカリも「一部の方に不快な思いを与えてしまったことについては深く反省している」と同様に謝罪した。
出版社の業界団体である日本書籍出版協会(東京都千代田区)はITmedia NEWSの取材に対し「(CCCとメルカリのサービスは)好ましいことではない。読者に購入してもらって、読んでもらい、保持してもらうのが本来の姿。今までも読んだ本を古本屋に持っていくのはあったし、読んだ本をどうするかは読者の自由だが、転売目的で購入されるのは違うし、違和感がある」と回答した。
同協会の回答を踏まえ、出版社の理解が得られていなかったこともサービス中止を余儀なくされた要因ではないか。この点についてCCCに問うと「ご指摘の通りだ。実験名目でやっていたので、結果を踏まえて話し合いをしようとしていたが、それにしても配慮が足らなかったのは事実」とした。
CCCは「今の出版業界の状況が続くと、誰も本を書きたがらなくなる。作り手への還元は必要なので、長期的に施策の検討はしていく」とし、今後も模索を続ける方針。企画段階から出版社なども巻き込むことについては「出版社も著者も納得してもらえる企画、スキームでないと成り立たない」とし、前向きな姿勢を示した。
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