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「ルナルナ」20年のデータ蓄積で見えた“オギノ式”の改良点 日本でも広がり始めた「フェムテック」(後編)(2/3 ページ)

日本を代表するフェムテック企業に、女性の健康に向けた取り組みを聞いた。

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「生理がつらい」と口にできない女性たち

 エムティーアイが2010年にスマートフォン向け月経管理アプリ「ルナルナ」をリリースしてから2020年までの10年間で、同アプリのダウンロード数は1600万を突破した(2020年11月時点)。

 「ルナルナの他にも月経管理アプリが増え、フェムテックという言葉が広がり、女性の身体の不調や健康を管理するという意識が高まっているのはとても良いことだと思いますし、ユーザーにとって選択肢が広がるのは喜ばしいことです。ルナルナとしては、これまでは一方的に情報配信をするだけで、サービスとしては完結していました。これからは、医療連携にも力を入れ、先駆者として、引き続きお客さまに愛されるサービスでありたいと考えています」(那須さん)

 月経管理ができる便利ツールとしてスタートしたルナルナだが、その後、女性のライフステージに合わせて、妊娠希望の方、妊娠中の方のそれぞれに向け、サービスを提供する対象を広げていった。

 「女性は、生理に悩みを持つ方がとても多いのに、それを打ち明けることをタブー視する風潮が今も社会的に根強く残っていて、寝込むほど生理痛がつらい人でも、誰にも相談できず、1人で我慢している方が少なくないことが利用者様の調査で分かってきました。それなのに、医療機関にかかっている方が少なく、病院で治療してもらうという発想に至る女性がまだまだ日本では多くありません。つらいと思ったときにきちんと医療機関にかかる。治療を受ける。そこをサポートするサービスになっていきたいと考えています」(那須さん)

 筆者自身も子どものころはそうだったが、若い女性の中には、「産婦人科は妊娠してから行くところ」「何されるかわからないから怖い」と考えている人が少なくない。

 10代〜20代前半の女性は、産婦人科へかかることを両親に反対されるケースもある。母娘であっても月経にまつわるつらさには個人差があるため、「みんな我慢しているんだから」「大げさなこと言わない」と娘の訴えに耳を貸さない母親もいる。「生理休暇」は形だけで取得できず、月経がつらくても、会社に相談しづらいと感じている女性は少なくない。

 いざ婦人科にかかろうと思ってもどこにかかったらいいのか選び方が分からない、予約したはいいが1〜2時間待たされる、ピルを服用し始めると、定期的に通院することが必要になり時間をとられる……など、月経がつらい女性が婦人科受診までにクリアしなければならない障壁は高く分厚い。

 「ルナルナでは2017年から、医師と女性をつなぐサポートツールとして、ルナルナメディコというサービスを開始しました。これは、ルナルナで記録している情報を、利用者の同意のもと、主治医が閲覧できるサービスです。医療連携を進めることで、利用者様の悩みを解決するために、医療機関と利用者様との接点を構築するなど、これまでより一歩進んだサポートができると考えています」(那須さん)

 ハードルが高い場所となってしまっている産婦人科とユーザーを結び、不調に悩む女性を1人でも減らす狙いがそこにある。

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「同社が実施するオンライン診療を活用した婦人科受診と低用量ピル服薬の支援プログラム」の全体像

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