「真のマルチタスク」を実現した「2画面スマートフォン」のこれから:デジタル・イエスタデイワンスモア計画(6/6 ページ)
失敗した、撤退したなどとネガティブな記憶だけが残るテクノロジーを取り上げ、その意義と現代における居場所を解説する連載。今回は筆者が激推ししている「2画面スマートフォン」である。
1画面というスマートフォンの当たり前を見直す時期
LGの2画面スマ-トフォンが発売されなくなったことは残念ではあるものの、これは携帯事業の撤退であって、2画面スマートフォンが受け入れられなかったわけではない。そもそも受け入れ以前に、2画面同時スマートフォンという価値が理解どころか認知もされていなかった、というのが筆者の感覚だ。
LGの2画面スマホはソフトバンクのLG G8X ThinQに続き、ドコモとソフトバンクから合計4モデルが発売されたが、筆者の周りではスマートフォン好きを除くとこの端末の知名度は圧倒的に低い。
一方で2画面の使い方を紹介すると反響が多いのもこの端末の特徴だ。筆者がこれまで個性的なスマートフォンを多数購入してきたが、数あるスマートフォンの中で最も「これは便利!」「これは欲しい!」という反響が大きかったのもこのスマートフォンだった。
iPhoneが登場して10年以上がたつが、カメラをはじめとした機能向上はあれど、「1つのディスプレイをタッチ操作する」という構造はほとんど変わっていない。スマートフォンがこれだけ当たり前のものとして普及した今だからこそ、画面の数も含めたスマートフォンの当たり前を考え直すタイミングではないだろうか。
すでに昔のものとなってしまったフィーチャーフォンも、普及当初はストレート型のものが多かったが、ディスプレイの大画面化と操作性を両立するために折りたたみ型が主流となっていった。そして折りたたみ時にも情報を確認したいというニーズを受けて背面ディスプレイが搭載され始め、背面ディスプレイの大型化も進んでいった。
スマートフォンも同様に、画面が増えることで新たな価値や体験を生み出す時期が近づいているのかもしれない。大画面モデルがハードウェアとして2画面環境を整えていく中で、2画面を同時に表示するというソフトウェアの面が今後強化されることに期待したい。
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