経団連の前会長、中西宏明氏が死去 日立製作所のITシフトをけん引
日本経済団体連合会(経団連)前会長の中西宏明氏が、6月27日にリンパ腫のため亡くなった。75歳だった。2019年に病状を公表し、治療に専念するため21年6月に会長を退任していた。日立製作所が7月1日に発表した。
日本経済団体連合会(経団連)前会長で日立製作所前会長CEOの中西宏明氏が、6月27日にリンパ腫のため亡くなった。75歳だった。2019年に病状を公表し、治療に専念するため21年5月と6月に、それぞれの会長職から退任していた。日立製作所が7月1日に発表した。
中西前会長は横浜市出身。東京大学工学部電気工学科卒業後、1970年4月に日立製作所へエンジニアとして入社。旧国鉄(現JR)の運行管理システムの開発などを手掛けた。その後、日立ヨーロッパ社長や本社の副社長などを歴任し、2010年に社長に就任。不採算事業だった家電事業の縮小などを進めた前任者の経営路線を継承し、経営者としてHDD事業の売却や空調事業の合弁事業化を進めた。その一方で、ITを活用したソリューション事業を中心に据え、社長時代には企業のIoT活用を進めるプラットフォーム「Lumada」の事業化を指揮するなどプロダクト中心からソリューション中心へのシフトを本格化させた。
15年5月には、日立ヨーロッパ時代に関わった英国の鉄道事業への貢献が評価され、英国政府から大英帝国勲章「ナイト・コマンダー」の称号を受章した。
経団連や政府もコメント
14年に日立製作所の会長に就任する傍ら、18年5月に就任した経団連会長としては、大卒向けの就職活動ルールの廃止、IT企業の経団連加入促進など組織内外の改革に取り組んだ。
訃報を受け、経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)は談話を発表。「常にグローバルな視点から発信し、行動する、わが国を代表する経営者。大胆な発想、卓越した経営手腕、強力な実行力、そして世界中の経営者や政治リーダーとのネットワークなどを通して、自社の経営改革を進めるとともに、日本経済が抱える重要政策課題の解決に尽力された」と中西前会長の功績を評価。「(中西前会長の)強い意志をしっかりと受け継ぎ、次の時代の明るい日本の実現に向けて、全力で取り組む」としている。
加藤勝信官房長官は1日午後の会見で、政府の経済財政諮問会議の民間議員としての功績に言及。「早くから日本社会のデジタル化の必要性を指摘され、脱炭素化も提唱された。現内閣の重要政策にも反映されており、常に広い視野、将来を見据えて大所高所から意見、提言を頂いた。改めてご功績に敬意を表するとともに、心から哀悼の意を表したい」と話した。
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