「Python」の登録商標、米Python Software Foundationが再出願 登録済みの企業に不使用取消審判の請求も
プログラミング言語「Python」の開発を支援する米Python Software Foundationが、国内における「Python」の登録商標を5月に出願したことが明らかに。出願が無事に登録されれば、より安心してPythonの名称を使えるようになるとみられる。
この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「「Python」の登録商標、米Python Software Foundationが再出願。アーク社の登録商標に対しては不使用取消審判を請求」(2021年7月16日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
プログラミング言語「Python」の開発を支援する米Python Software Foundationが、国内における「Python」の登録商標を5月に出願したことが明らかになりました。
日本国内におけるPythonの登録商標は、2018年5月に株式会社アークによってすでに登録されています。しかし今回、Python Software Foundationはこれに対して不使用取消審判を請求しました。
これが成功し、Python Software Foundationの出願が無事に登録されれば、より安心してPythonの名称を使えるようになると見られます。
アーク社の登録商標に対して不使用取消審判を請求
現状と見通しについて、知財に詳しい株式会社テックバイザージェイピー代表 栗原潔氏に聞いたところ、以下のような説明をいただきました。
以前にも、米Python Software Foundationは、2019年9月19日にPYTHONの商標登録出願を行っていたのですが、株式会社アークの登録商標(6042638号)の存在を理由に、一部商品(例えば、「携帯情報端末」)については登録できていませんでした。今回の出願は、この登録を補完するために行ったものです。そして、米Python Software Foundationはこれらの出願の直後、2021年5月29日にアーク社の登録商標に対して不使用取消審判を請求しています。
不使用取消審判は、日本国内において正当な理由なく3年以上使用されていない商標を第三者からの請求により取り消すことができる制度です。使う予定がない商標を独占することは好ましくないことから設けられました。なお、2021年5月29日に不使用取消審判が請求されているのは、アーク社の登録商標の登録日が2018年5月であるところ、3年の経過を待っていたためです。
不使用取消審判において、アーク社は、商標の使用証拠(製品のパンフレット、売上伝票等)を提出する必要があります。提出すれば商標登録は維持となりますが、提出できなければ商標登録は取消となり、Python Software Foundationの商標登録出願がアーク社の登録商標を理由として拒絶されることはなくなります。
不使用取消審判の結論が出るまでは通常1年程度かかります。なお、アーク社は過去3年内での使用証拠を提出する必要があり、今から使用を始めても間に合いません。
不使用取消審判が成功し、今回のPython Software Foundationの商標登録出願が無事登録となれば(その可能性は高いと思います)、ソフトウェア関連分野におけるPYTHONの商標の使用はPython Software Foundationの規定に従えば問題なく行えることになり、第三者からあらぬ警告を受けるということはなくなると考えられます
栗原氏の説明にあるように、現状はまだPython Software Foundationによる出願がなされただけです。結論がでるのは出願された2021年5月から1年後の22年5月頃と予想されますが、時期が前後する可能性はあるとのこと。
しかしPython Software Foundationによる登録に向けた着実な手続きが行われたと言ってよいでしょう。来年によい結論が出るのを待ちたいと思います。
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