任天堂「はじめてゲームプログラミング」で記者がイチから学んでみた 数学オンチでもゲームは作れるのか(2/2 ページ)
任天堂が6月11日に発売した「ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング」。大人がプログラミングに挑戦してみるツールとしても使えるのか、数学嫌いの記者が挑戦。
まず実際にノードンを配置したり、接続したりする作業は、携帯モードでプレイする場合はほとんどタッチ操作で行う。恐らくはスマートフォンやタブレット端末に慣れた子供向けの仕様だろうが、普段キーボードやコントローラーでゲームを遊ぶ記者からすると、少し操作しにくく感じた。
ノードが増えて来ると誤タッチも増えるので、テレビにつなぐTVモードでプレイし、コントローラーで操作するか、タッチペンなどが必要だった。このゲームはTVモードならマウスでも操作できるので、PCに慣れている人はマウスを使うのもいいだろう。
もう一つは、やはり子供向けだからか、全体を通して少し解説が丁寧すぎる。特に序盤は顕著で、ノードンをコピペするだけでも毎回説明が入る。仕事をしながらで時間のない大人にとっては、ややテンポが悪い。
こう見ると基本的に子供向けのゲームで、大人には向いていないのではと感じられる。しかし、はじめてゲームプログラミングには大人が学習を続けるために欠かせないある工夫があった。
とにかく褒めてくれるので大人でも続けられる
それは各工程を終えるたび、とにかく褒めてくれる点だ。どんな技術や知識を習得するときにもいえるが、一番つらいのは自分の思い通りに何かを作れるまでの過程だ。モチベーションが続かなければ途中で諦めてしまう。
しかし、はじめてゲームプログラミングでは、ゲームができたり課題をクリアしたりするたび、とにかくいろいろな言葉で褒めてくれる。すると、仕事で疲れてやる気が出ないときにも「もう1ステップだけ進めるか」とトライする気になる。
そうやってゲームを続けると、少しずつ考えた通りの仕組みが作れるようになって、楽しくなってくる。実際、これまでHTMLやUnityに挫折した記者だが、今回は最後まで続けられた。
仕事をしながら休み時間や休日に進めたので、ナビつきレッスンを終えるのにかかったのは1カ月ほど。現在は、フリープログラミングで「8人のキャラを同時に操作し、何人生き残れるか」というアクションゲームを作っている。マリオの後ろにルイージが7人いるようなイメージだ。
「たくさんのキャラクターを同時に操作したら面白いのでは」というコンセプトで作ったが、なかなか難しい。頑張れば全員が生還でき、かといって油断したら誰かが死んでしまうようなステージ作りが簡単でなく、どんな仕掛けならバランスが良くなるか悩んでいるが、毎日少しずつ進めている。
なぜ毎日進められるかといえば、自分のアイデアが形になるからだ。はじめてプログラミングを始めるまでは「こういう仕組みは面白いんじゃないか」と思っても、それを実現できる具体的な手段が分からなかった。
しかしナビつきレッスンを終えると「この仕組みはもしかしたらアレを応用すればできるんじゃないか」「このノードで実現できるんじゃないか」と考えられるようになる。単にプログラミングは楽しいと伝えるだけでなく、この体験に至る道のりを丁寧にサポートしてくれることが、はじめてゲームプログラミングの真の魅力ではないだろうか。
あくまで入り口だが、大人でも考え方の基礎は学べる?
大人でも学びになるはじめてゲームプログラミング。この体験が業務に直接役立つかは分からないが、Unityなどの勉強に挫折してきた自分が最後までゲーム作りを進められたのは驚きだった。学んだ知識が定着したと感じられ、それを応用して自分だけの作品を作れるのも、なんだか感慨深いものがある。
ゲームを任天堂のサーバにアップロードし、他のプレイヤーと共有できる機能も搭載しているため、他の人が作った作品を見るのも楽しい。任天堂はゲームを勉強会などに使うシチュエーションを想定した規約を公開しておらず、会社の研修などに使うことは難しいかもしれないが、個人で学び直しをする手段としては一考の余地があるだろう。
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