ロボットの燃料は「カセットボンベ」 駆動時間はリチウムイオン電池の2倍
ダイニチ工業が、カセットボンベを燃料に半導体の温度差で発電する「熱電発電」を使った自律走行ロボットを開発した。カセットボンベと同じ重さのリチウムイオン電池より駆動時間が2倍ほど長いという。
石油ファンヒーターを製造するダイニチ工業(新潟県新潟市)は7月26日、東京大学や産業技術総合研究所などとともに、カセットボンベを燃料に使った自律走行ロボットを開発したと発表した。カセットボンベと同じ重さのリチウムイオン電池より駆動時間が2倍ほど長いため、長時間駆動が可能になるという。
カセットボンベのガスを触媒で燃焼させ、燃焼時の熱を電力に換える高効率な「熱電発電」システムを開発した。発電量は約70Wで、持ち運べるサイズとしては日本最高レベルだという。
発表時点での駆動時間はカセットボンベ2本で約6時間で、ボンベの本数を増やせば駆動時間も伸ばせる。同じ駆動時間のリチウムイオンバッテリーより軽い(約2分の1)他、静音で、一酸化炭素と窒素酸化物をほぼ排出せずに発電できるのが強みという。
これまで遠隔操作ロボットや自律走行ロボットに必要な100Wで程度の電力は主にリチウムイオン電池でまかなっていたが、駆動時間の短さが課題だったという。同社はロボットの走行テストを行い、その結果から課題解決の道筋がついたとした。
走行テストでは、事前に設定したルート約1.8kmを約1時間20分かけて自走。ロボットに線量計を搭載し、福島県双葉郡大熊町の道路周辺の放射線量を測ったという。ロボットの大きさは52(高さ)×45(幅)×52(奥行き)cmで重さは約30kg。
今後は発電システムの改良を進め、9月にはカセットボンベ2本で約20時間の駆動を目指す。開発はダイニチ工業と東大、産総研の他、熱電発電モジュール製造を手掛けるKELK(神奈川県平塚市)が共同で行っている。
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