「アプリで開閉するレンタカーが山奥で開かず」の人、その後の顛末を語る(前編) トヨタの担当者と再検証した結果、どうなったのか(2/2 ページ)
飛騨の山中でクルマから締め出され、自力での帰宅を強いられた江島さんが、詳しい経緯を語った。
菓子折りと車を持って訪れた担当者
ポッドキャストの収録が行われた直前には、トヨタの担当者が江島さんの東京の拠点を訪れた。問題となった車両と菓子折りを持ってきたという。謝罪と検証のためだ。ここで江島さんの私物も返却された。
鍵を再発行してもらい、そのままの状態の実車を開けてみるテストを行ったところ、今回はちゃんと動く。鍵のロック・アンロックのベリファイ(検証)を3G回線やWi-Fiで行うのではなく、Bluetoothのローカル処理だけで行っているので、本来ならば山の中であろうがちゃんと動作するはずなのだという。バッテリーの問題でもない。再検証でも原因は分からないままとなった。
原因が分からないというのはモヤモヤする状況だが、「他社の同種のサービスの場合には、コールセンターに電話するとリモートアンロックできるのだが、このサービスにはなかった」と江島さんはバックアッププランの不在を指摘する。
Bluetoothでロック・アンロックをする専用アプリの仕様も気になった。長年スマートフォンアプリの開発にも携わった江島さんの目からは基本的なUI設計がこなれてないと感じ、トラブルに遭遇するまでの間にも使っていて「誰が作ったんだ、これ!」と思っていたという。
例えば「画面の一番下にボタンがあるが、Bluetoothの接続が成功するたびにその表示が出てボタンを隠してしまう」「契約を終了するというボタンが中央にでっかく表示されて『車の外に出ていますか?』と何回も確認してくる。つまり出ていなかったらやばいということ」など、いくらでも出てくる。
江島さんは、高度な自動運転機能を持つTeslaに乗ったときは不安がなかったけれども、トヨタのこのアプリでは、その作り込みの甘さに不安を覚えたという。今回はその不安が的中してしまった。製品・サービスの出来・不出来はアプリなどの細部にも現れるという、ベテランエンジニアの勘だ。
このサービスが抱えている問題はアプリだけではないと江島さんは指摘する。結果的に彼が飛騨で放り出され、自力で帰宅せざるを得なくなった、「サポートの問題点」については後編でお届けする。
トヨタは8月7日、チョクノリ!の不具合について、全車両の点検を完了したと報告した。
関連記事
- 「山奥で車のドアが開閉不能に」──トヨタの無人レンタカーでトラブル、“その場に置き去り”仕様に物議 トヨタ「案内ミスだった」
「飛騨の山奥で突然ドアが開かなくなって詰んだ」──トヨタ自動車が提供するレンタカー無人貸し出しサービス「チョクノリ!」を利用したユーザーのツイートが物議を醸している。飛騨の山奥で車とスマートフォンのBluetooth接続が失われ、車のドアの開閉ができなくなったという。 - どんなクルマもCarPlay対応にする「Coral Vision Carplay Wireless Pro A」を試す USB-C接続、ワイヤレスCarPlayに対応
今度はワイヤレスCarPlayに対応。 - あらゆるクルマをCarPlay対応にする「Coral Vision」、国内販売開始 ワイヤレスモデルも
以前、MACお宝鑑定団でレビューした、CarPlay用スマートディスプレイが国内販売開始された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.