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5G電波を反射する板で通信エリア拡大、DNPが開発 景観に合わせデザインも変更可
DNPが5G電波を反射して、通信エリアを拡大できる反射板「リフレクトアレイ」を開発した。表面のデザインを変更でき、景観を崩さないという。2023年度の実用化を目指す。
大日本印刷(DNP)は8月31日、5G電波を反射することで、通信エリアを拡大できる反射板「リフレクトアレイ」を開発したと発表した。表面のデザインを変更でき、景観を崩さずに通信エリアを拡大できるという。携帯各社などと機能の検証を進め、2023年度の実用化を目指す。
リフレクトアレイは、特定の周波数以外の電波を透過する「周波数選択反射層」、電波の入射・反射する方向を決める「反射方向制御層」、表面をデザインするときに使う「デザインカバー層」の3層構造。電源は不要で、既存の基地局や中継機に比べて運用コストも安いという。5G以外の電波を透過するため、4G通信などへの悪影響も少ないとしている。
DNPによれば5Gで使う高周波数の電波は直進性に優れる一方、到達距離が短く障害物に弱いという。リフレクトアレイが実用化すれば、電波の反射具合を調整して入射波より広いエリアに電波を届けたり、中継機器など狙った装置に電波を集めたりできるとしている。
実用化後は、景観への配慮が求められる市街地や、イベントの実施状況ごとに障害物の位置が変わる展示会場などでの利用を見込む。現在開発しているリフレクトアレイは一定方向にしか電波を反射できないが、今後は方向を調整できるモデルも開発する予定という。
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