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生演奏の機会を奪われたアーティスト、DXする ライブ配信を追求したらつながった新たな仕事(2/4 ページ)

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1人で演奏、スイッチング、テロップ挿入などをこなす

 当時はYouTubeのチャンネル登録者数も少なく、スーパーチャットが使えないため投げ銭の方法を模索しながらのスタートだった。QRコード決済を利用した投げ銭も考えたようだが、利用約款に抵触するため、PaypalやStoresでの支援を訴えた。

 その際、仁詩さんは次のように考えて、視聴者に向けて投げ銭をお願いしていたという。「活動の場が失われたので、金銭的な援助をお願いします、というのは違うと思った。今後、ライブ配信をどんどん面白くするので、機材やソフトウェアを導入するための援助をお願いしたい、と訴えた」そうだ。

 その約束通り、その後の進化は目を見張る。自身も勉強と研究を重ね、カメラ、スイッチャー、PC、エンコーダーなどを拡充していった。例えば、スイッチャーは、ローランドの「V-8HD」を導入した。

 配信用スイッチャーというと、Blackmagic Designの「ATEM Mini」シリーズが人気だが、「ATEM Miniは、1人で演奏をする際のコントロールとしては使いづらく、フットペダルでコントロールしたり、曲名テロップなどを比較的容易に追加できるV-8HDが自分には最適」という。

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ローランドの「V-8HD」とBlackmagic Design、Cerevoのエンコーダーを導入した

 また、配信開始当初は、メモリを64GBに増設したMac miniにOBS(無料の配信ソフト)をインストールして行っていたというが、音と映像がずれるなど、Macでの映像処理に限界を感じ、その後、ハードウェアのエンコーダーとWindowsマシンにvMix(配信ソフト)を導入している。

 プレーヤーと配信役という1人2役は、とても大変だ。演奏、スイッチング、ナレーション、コメントへの対応など、これらを全て1人で行う必要がある。仁詩さんの場合、視聴者との約束を果たすため、それ相応の完成度を保持した映像づくりを目指しているだけに、スマホ1台で行うお手軽配信とは事情が違う。

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