映像スイッチャーがクラウド化に進む 激変する「ライブのおしごと」:小寺信良のIT大作戦(2/3 ページ)
2年ぶりのInter BEE開催。そこで目にしたのは大きく変貌を遂げたスイッチャーだった。
3大メーカーが一斉にクラウドスイッチャーを展示
今回のInter BEEは以前より出展規模が半分以下になり、コンパクトな展示会となったが、それでも主要メーカーの動向がつかめたのはありがたかった。
パナソニックは、オンプレミスのサーバで動くソフトウェアスイッチャーでは先行しており、「KAIROS」というシステムを2020年9月より販売している。2020年のInter BEEはオンラインしか開催されなかったので、広くお披露目する機会を失っていたわけだが、今回はこのKAIROSをパブリッククラウド上で動かすという、クラウドサービスへと展開した。
オンプレミスでのシステムより入出力数は減るが、機能的には同じだという。クラウド上のサーバのGPU使用率が100%になるまでは制限無しで合成を重ねられるという強力なスイッチャーである。
米国GrassValleyは放送スイッチャーの老舗メーカーだが、今回はハードウェアのスイッチャーはほとんどなく、クラウド上に展開するSaaSプラットフォームAMPP(Agile Media Processing Platform)を展示した。
やりたいことや規模に応じて必要な機能を専用アプリストアからダウンロードして全体を組み上げるというソフトウェアモジュール方式になっており、使わないモジュールは停止すればその分の課金は節約できるという、使用率に応じたサブスクリプションモデルとなっている。
各ソフトウェアはブラウザ上で動作する他、Windows/Macのローカルにインストールして使うアプリも用意されている。またハードウェアコントローラーとして、既存のスイッチャーのコントロールパネルがそのまま使える。
ソニーは今回のInter BEEに合わせて、クラウドスイッチャーM2 Liveを登場させた。ソニーは多くのカメラが現場で稼働しており、それらのライブストリームを、スマートフォンを介してクラウドに直接アップするC3 Portalというソリューションも同時に発表した。
クラウドスイッチャーとしては後発になるため、まだハードウェアコントローラーがないが、従来型のオーソドックスなスイッチャーのようなUIを持っており、ユーザーの心理的抵抗を下げている。
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