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DTPの2023年問題、知ってますか? 終末の日が近いType 1フォントの“遺産”にどう対応すべきか(3/3 ページ)
2023年になると、膨大な過去の出版データが使えなくなる。なぜそうなるのか、そのために何をやっておくべきかを考える。
フォントに限ったことではないが、前世紀は物理メディアによるフォントライセンス供給が前提だった。最初はフロッピーディスク、そのあとはCD-ROM、DVD-ROMによるパッケージ販売という形式に変わった。
今世紀になってからは海外のフォントベンダーであってもオンライン購入が前提となってきたので、インストールや管理についてのストレスはなくなった。Adobe FontsやMORISAWA PASSPORTなど、主要なフォントベンダーはオンラインでのインストールを前提としたフォント管理への移行をすでに完了しており、メディアに格納されたフォントライセンスはその使命を終えている。
デザインに携わってきた者の責任として、過去に使用したType 1フォントはOpenType版フォントを新たにライセンス購入することにしている。もしもOpenType版が存在しない場合は、いまのうちに代替できるOpenTypeフォントを用意しておくことも必要だと考えている。
コンバート用に過去のOSとアプリケーションが動く環境をサブセットとして備えておくことも1つの方法ではあるが、運用できる年数には限りがある。大事に動態保存しているAdobe CSが動くPCも、いつの日か機械としての寿命が尽きる。
2022年はType 1フォントのサポート終了後に「フォントが使えない!」と焦ることなく迎えるためにデータのコンバートを進め、Type 1フォント時代の終わりへの準備期間としたい。
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