100年後の世界はどうなっていると思う? “魔法のアイテム”スマホを握って未来を考える展覧会を見てきた(2/2 ページ)
スマホは、過去の人にとっては“魔法のアイテム”だ。カメラも電話も音楽再生もできるなんて信じられないだろう。でも、僕たちだって100年後の世界を想像するのは難しい。そんな未来を考えるヒントをくれる展覧会を見てきた。
人々の体験は、その時代の最先端技術を用いている
ベンチャー企業、H2L(東京都港区)の社長を務める、琉球大学の玉城絵美教授は過去の人々の体験に注目した。作品名は「かつて、人々は何を求めていたのか?」。
人々は、その当時の最先端技術を用いて自身の体験を共有してきた。口伝や小唄から始まり、本や木版印刷を活用した浮世絵、ラジオ、テレビ、インターネット、ソーシャルメディア、そして今後はメタバースに広がる。
それぞれの技術は時代を下るにつれて芸術や文学に分類されていく。しかし、これらは消えることなく残り続けている。技術革新や社会に大きな変化があっても、ある技術が完全になくなることなく、普遍的に残る方法を見いだせるかもしれない。
“仮想標識”を通して未来の都市を考える
木原共氏(インタラクションデザイナー)の作品は、架空の標識をARで表示する「Future Collider」だ。
「プラスチック禁止地区 この先200m」「運転禁止地区 自動運転車のみ この先100m」といった仮想交通標識や、「ラボ直送 培養肉ランチ990円」「質 なんでもNFT化 手数料業界最安」といった標識や看板を、現実世界の空間にARで表示する。iPhoneを使って実際に試すこともできる。
時代や表示方法が変わっても、人間は目にした標識や看板を読んで規律を守ったり欲が出たりするのだと感じさせてくれた。カテゴライズすることで未来の都市や暮らしを想像しやすくなる印象もあった。
新しい技術のヒントは過去にある?
内田友紀氏(都市デザイナー)はコラムを展示した。題名は「忘れられた過去は、いつ、新たな意味を獲得するのだろうか?」。
筑後の馬場水車場(福岡県)で100年以上前から動き続けている水車を使って作っている線香をテーマにしたコラムだ。いまだ広く知れ渡っていない過去からの営みに学びがあることを指摘する。
時代を重ねるごとに知見が集まり、同時に合理化が進むなら、古い時代から受け継がれている技術に大きなヒントが含まれていると考えることもできる。
考え続けて共有し続けることが未来につながる
2121年 Futures In-Sight展には、SFから生まれたもの、民俗学からのアプローチ、心を可視化できる時代の想像図、テクノロジーによる認知力や身体の拡張などさまざまな視点の展示品があり、いろいろなメッセージがあった。
時間をかけて展覧会の会場内を見て回っても、まだ僕の中には100年後の未来を明確に想像する力は生まれなかった。しかし、10年先など近い未来から一歩先に進んだ世界ならイメージできるようになった気がする。これから普及するであろうVRやAIなどのテクノロジーを手掛かりに、次のステップを予想することで将来の可能性を思い浮かべることができる。
2121年 Futures In-Sightを見たことで、未来の自分が、社会が、ビジネスが、生活がどう変わっていくのかを考えるきっかけになった。
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