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ローランド創業50年、その黎明期を振り返る シンセ、エフェクターがアナログからデジタルへ移り変わっていった時代(1/5 ページ)

中学生の頃からローランドに貢ぎ続けてきたという小寺信良さんが、1970年代から80年代の電子楽器の歴史を補完する。

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 今年ローランドが、創業50年を迎えたそうである。ヤマハの創業が明治20年(1887年)、カワイの創業が昭和2年(1927年)であるのに比べると、元々アコースティック楽器メーカーではなく、最初からエレクトロニクスの会社だったので、楽器メーカーとしては意外に新しい。

 これを記念して、ローランドでは特設サイトを設けて50年の歴史を振り返っている。

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ローランド50周年特設サイト

 ローランドはそれぞれの年代でエポックメイキングな製品をリリースしているのだが、他社の情報が載ってないので、その当時の雰囲気までは分からない。

 昨今の製品はみなさんもよくご存じだろう。ここでは中学生の頃からローランドに貢ぎ続けてきた筆者が、あまり良く知られていない1970年代から80年代の歴史を補完してみたいと思う。一緒に特設サイトのページを繰りながらご覧いただければ幸いだ。

この記事について

この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年1月24日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額660円・税込)の申し込みはこちらから。さらにコンテンツを追加したnote版『小寺・西田のコラムビュッフェ』(月額980円・税込)もスタート。

1970's - アナログしかない時代

 1977年、BOSSブランドのエフェクター1号機として、「BOSS CE-1 CHORUS ENSEMBLE」が登場する。当時はまだコンパクトエフェクターシリーズを出しておらず、CE-1はかなりでっかいエフェクターだった。のちにコンパクトエフェクターでもCHORUSが登場するが、Fender Rhodesエレクトリックピアノとの相性はCE-1のほうがよく、筆者は1981年頃に購入した。エフェクターの中でも結構高かったように思う。

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BOSS CE-1 CHORUS ENSEMBLE

 シンセサイザーとしては、同社初のポリフォニックシンセサイザー「JUPITER-4」が1979年に出ている。当時で38万5000円という価格は国内シンセではかなり高価だったが、国内初の実質的なポリシンセは1977年のヤマハ「CS-80」で、128万円だった。国内初のポリシンセは1975年のヤマハ「GX-1」という説もあるが、あれは実質エレクトーンで、その最上段の鍵盤だけがポリシンセであった。

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JUPITER-4

 70年代はシンセサイザーの勃興期にあたるが、当時はモノフォニックが主流で、ポリフォニックは学生が買えるようなものではなかった。当時高校生だった筆者は、楽器屋さんに展示してあるのを見たことがあるが、弾いたことはなかった。

 実際に弾くことができたのは、1983年頃のことで、当時秋葉原にあった家電チェーンLaOXの楽器館にあった練習スタジオに常設してあったからだった。音色を記憶できるので、練習前にギタリストがチューニングなどしている間にいそいで音を作って保存していたが、翌週の練習では全部上書きされていたので、毎回作り直しだった。

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