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気がつけばフェードアウト?  ビデオカメラの歴史を振り返る小寺信良のIT大作戦(2/5 ページ)

スチルカメラ以上に記録フォーマットの歴史そのものをなぞって成長してきたビデオカメラ。その歴史を辿っていく。

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デジタル化の始まり

 ビデオカメラがデジタル化されたのは、1995年のことである。規格乱立の反省から、各メーカーからなる協議会を経て規格化されたDV(MiniDV)フォーマットは、多くのメーカーが1フォーマットの下、しのぎを削ることとなった。

 中でもエポックメイキングだったのが、日本ビクター(当時)のポケットムービー「GR-DV1」だろう。小型化もさることながら、液晶モニターをあきらめてビューファインダーだけのフラットボディー化という割り切りで、一世を風靡した。以降DVカメラは、大型の高画質モデルと、コンパクトモデルに分かれていった。

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GR-DV1

 コンシューマーでは1フォーマットだったが、業務用の世界ではソニーと松下電器の因縁の戦いは続いていた。放送業界はベータカムのデジタル版として「デジタルベータカム」へ移行していったが、業務クラスではDVフォーマットをベースに、ソニーは「DVCAM」を、松下電器は「DVCPro」を開発、ケーブルテレビやCS放送局などに導入されていった。

 DVフォーマットはIEEE1394(FireWire、i.Link)インタフェースと互換性があったため、コンシューマーでもPCへ取り込んでノンリニア編集という流れが出来上がっていった。

 ノンリニア編集自体はそれ以前からAvidやMedia100といったシステムがあったが、当時は1システム500万円ぐらいしたので、それが市販のPCでできるというのは大きなインパクトだった。

 DVカメラの時代はそこそこ長く続いたので、面白いカメラがたくさん出た。キヤノンは1998年という早い段階から、EFマウントのレンズが使える「XL1」を登場させている。

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キヤノンXL1

 また、ビデオ解像度を遥かに超える高解像度センサーを搭載し、デジカメ並みの写真を撮るという「写真DV」というコンセプトを打ち出していった。今のデジカメが「写真も動画も」であるのは、この辺りが原点である。

 2001年にはソニーが新テープ規格「MICROMV」をスタートさせた。合計3モデルほど出たはずだが、これは普及せずに終わっている。

 2002年には松下電器が、DVフォーマットながら24p撮影、CINE-LIKEガンマ搭載という「AG-DVX100」を登場させた。ビデオカメラでシネマ風という道筋を付けたカメラである。もともとは2001年に、DVCProのテープ記録ながらバリアブルフレームレートが撮影できるという「Varicam」こと「AJ-HDC27V」および「AJ-HDC27F」を開発している。Varicamは以降メモリ記録でシリーズ化して、デジタルシネマカメラへの足がかりとなった。

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