3Dプリントしたゼラチンをゲームコントローラーで操作 破損しても5回まで再印刷可能:Innovative Tech(2/2 ページ)
オーストリアのJohannes Kepler University Linzの研究チームは、3Dプリンタを使い、ゼラチンベースの生分解性ハイドロゲルを造形できる手法を開発した。アクチュエータやセンサーを搭載することで、ゲーム用コントローラーでハイドロゲルを制御できる。
印刷したハイドロゲルを応用するために、3チャンネル持つ空気圧駆動型アクチュエータ(直径16.6mm、高さ60mm)を3Dプリントした。このアクチュエータをハイドロゲルに装着することで、個別に膨らまし曲げなどの変形を可能にする。最大74度の曲げ角度で全方位運動を実証した。
さらに研究チームは、ハイドロゲルインクを使って光導波路センサーを3Dプリントした。この光導波路センサーを先ほどの空気圧駆動型アクチュエータと組み合わせることで、曲げ方向のセンシングや触覚のセンシングを可能にする。ハイドロゲルの方向や曲げ率の計測、触れられた感触の検出、タッチインタラクションができるようになる。
これらの性能を評価するため、3本の光導波路センサーからなる6つのボタンを持つ、ビデオゲーム型コントローラーパッドを製作した。ボタンが押されると検知し、左、右、上、下、A、Bと識別した上で、あらかじめ定義された動作パターンをハイドロゲルにリアルタイムで実行できる。全て1秒未満の応答時間での制御に成功した。
空気圧駆動型アクチュエータと光導波路センサーを含めたハイドロゲルは、全ての材料において生分解性を保持しており、水に浸すと全て膨潤して溶解する。再印刷しない場合は、堆肥で完全に生分解できる。
Source and Image Credits: A. Heiden, D. Preninger, L. Lehner, M. Baumgartner, M. Drack, E. Woritzka, D. Schiller, R. Gerstmayr, F. Hartmann, and M. Kaltenbrunner “3D printing of resilient biogels for omnidirectional and exteroceptive soft actuators” SCIENCE ROBOTICS. 2 Feb 2022, Vol 7, Issue 63. DOI: 10.1126/scirobotics.abk2119
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