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コロナ禍にTwitter上で拡散したデマツイート、東大と和歌山大が調査 社会や個人への影響度を分析Innovative Tech(1/3 ページ)

東京大学と和歌山大学の研究チームは、新型コロナウイルス感染症で起こったパンデミック時にTwitterに投稿された流言を収集し分析した。

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Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 東京大学と和歌山大学の研究チームが発表した論文「新型コロナウイルス感染症流行時におけるTwitter上の流言訂正情報に関する分析」は、新型コロナウイルス感染症で起こったパンデミック時にTwitterに投稿された流言を収集し分析した調査書だ。

 「コロナには納豆が効く」「コロナには和牛が効く」「5G回線や電波から感染する」「マスクに梅干しの果汁を塗る」「ハイターでうがいをする」などの内容のツイートが流言の一例だ。

 Twitterによる流言の拡散は、適切な情報共有を阻害し、情報受信者を誤った行動に導き、さまざまな損失を与える場合がある。2019年11月に発生が確認された新型コロナウイルス感染症のパンデミックで実際に発生した非常事態下(以下、コロナ禍と呼ぶ)においては、伝搬した流言をきっかけとし、食料品や生活用品の買い占め、健康被害につながる誤った情報に基づく行動など、生活に影響を与えうる流言がTwitter上に多数投稿されるなどの問題が生じた。

 研究では、コロナ禍を一事例とし、Twitter上で拡散した流言について分析と考察を行う。ここでは、十分な根拠がなく、その真偽が人々に疑われている情報を流言と定義し、その発生過程は問わないものとする。最終的に正しい情報でも、投稿時に十分な根拠がない場合は流言と見なす。

 流言情報の収集には、ユーザーの投稿した流言の訂正に基づく流言情報の自動収集サービス「流言情報クラウド」を使った。流言情報クラウドでは、「○○○はデマです」のような、人間が投稿した流言を訂正しようとする表現を含む情報をTwitterから自動抽出し、それらが本当に流言を訂正しているツイートかどうかを自動判別し収集する。

 流言情報クラウドで2019年12月〜2020年5月の約6カ月間かけて収集した20万2293ツイートの流言情報を、分析対象データとした。分析は、データからどの程度コロナ禍に関連する流言が含まれているのかを明らかにし、コロナ禍に関連する流言にはどのような内容が含まれるのかを分類し、その傾向を明らかにする。

 さらに、流言の拡散量に影響するとされる「重要さ」(人々への影響度合い)を測る指標として、幸福度の指標体系に着目した評価方法を定義し、その評価結果(流言内容の人々への影響度合い)や流言数、訂正ツイート数をもとに、コロナ禍に話題にのぼる流言情報の特徴を明らかにする。 

 収集した流言ツイートからコロナ禍に関連するツイート(1645件)だけをキーワードおよび手動で抽出し、大きく分類した結果、11種類の主題へと大別できた。具体的には、対策として効果があるものに関する主題や、感染源や感染経路に関する主題、対策として効果がないものに関する主題、感染症の流行に伴う社会的な影響に関する主題、感染者に関わる主題が挙げられた。


コロナ禍における流言ツイートを分類した結果

各主題のツイート数
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