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“最強PC”を組めるヤツに会いに行く そして生まれた怪物のスペックはプロ棋士向け最強将棋AIマシンを組む!(2/3 ページ)

プロの将棋棋士が研究に使える、“最強の将棋AIマシン”を組むべく記者が奔走する本連載。今回は「CPUもGPUも強いマシンを使ってみたい!」と自作PC専門家に相談し、実際にブツを組み上げるまでのお話。

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最大メモリ2TBまでいける“PRO”シリーズでGO

 Ryzen Threadripper PRO 3000WXシリーズは、3990Xなど3000Xシリーズ発売の約1年後となる21年3月に販売が始まったモデル。3000Xシリーズと同じく「Zen 2」というアーキテクチャであることから動作速度が向上するわけではないものの、メモリチャネルを3000Xシリーズから倍増させているのが特徴の一つだ。

 3000Xシリーズは256GBがメモリ搭載量のマックスだったが、3000WXシリーズは2TBまで搭載可能という。HDDやSSDなどストレージの容量ではなく、メモリの容量で、だ。

佐藤さん コア数は減ってしまいますがまずは3975WX(32コア/64スレッド)でやってみましょう。ただ……。

── ありがとうございます!……ただ?

森田さん 対応マザーボードを載せられるPCケースがほとんどないんですよね。

── そんなことあります?


今回使わせていただいた「Ryzen Threadripper PRO 3975WX」と、それを搭載するASUSのマザーボード「PRO WS WRX80E-SAGE SE WIFI」

専用マザーは縦に長い

 マザーボードの規格は「ATX」「MicroATX」「Mini-ITX」などとサイズごとで分かれており、それぞれのサイズに応じたPCケースもある。この3種類の中ではATXが最も大きく、「フルタワー」と呼ばれるサイズのPCケースはATX以下のマザーボードを搭載できる。

 しかし、Ryzen Threadripper PRO 3000WXシリーズに対応するCPUソケット「sWRX8」を持つマザーボードは「Extended ATX」という、ATXよりもさらに大きな規格になる。一般的なATXが305(幅)×244(高さ)mmであるのに対し、sWRX8対応マザーボードは幅はほぼ同じでありつつも、高さは約330mmに及ぶ。しかも、マザーボード下部に各種コネクターを備えるため、コネクターの接続スペースも必要になる。

佐藤さん マザーボードの仕様が分かったときには、市場にこれに合うケースがあるのか秋葉原の各店舗を見て回りましたよ。

森田さん 製品としてはあっても日本で発売していないパターンもありますからね……。多分今回はこれ(Fractal Gamingの「Meshify 2 XL」)を使うしかないんじゃないかな。

森田さん GPUはひとまず「GeForce RTX 3090」を1基使うとして、メモリはどれくらいを確保できるか分かりませんが、メーカーと交渉してみますね。

メモリは512GBに 自作のプロによる組み立ての儀

 森田さんがメモリ確保に掛け合ってくれたのは、PCメモリメーカーのセンチュリーマイクロ。その結果、1枚64GBのDDR4メモリを8枚、計512GB借りることが可能になった。少なくともこれで、これまでのプロ棋士が購入した研究マシンより搭載メモリ量は大きくなったといえそうだ。


センチュリーマイクロの厚意で64GBメモリ×8枚を借りれた

 こうして“最強マシン”の初期スペック全貌が見えた。

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