AIで「パニック買い」を乗り越える 繰り返される“買いだめの歴史”に終止符を :ウィズコロナ時代のテクノロジー(3/3 ページ)
新型コロナウイルスによるパンデミックは当初、パニックと呼べるほどの反応が人々の間で見られた。その代表的な例に「パニック買い」と呼ばれる、買いだめや買い占めが起きる現象がある。これに対して、AIを使ってを抑制しようとする動きが、世界中で進んでいる。
公的機関との連携で、パニック買いを制御する
とはいえパニック買いに対して、小売業者の側で、それを乗り越えられるような在庫を確保するという対応を取るだけで良いのだろうか。
COVID-19が引き起こしたパニック買いにおいては、日本各地の自治体が、それを控えるよう呼びかけを行っている。買いだめが起きたとき、一番困るのは、それに対抗できるほどの情報力や行動力を持たない弱者だ。そうした人々が不利益を被らないようにするためには、社会全体でこの現象に対応する必要がある。
カナダのBlueDotは、主要メディアやネット上のコンテンツといった各種情報を集めて分析し、感染症の流行をいち早く検知するAIプラットフォームを開発・提供している。その実力は、2019年12月31日に中国の武漢市において、のちにCOVID-19と名付けられることになる新型肺炎のクラスタ発生を検知していたほどだ。
こうしたAIによる早期警戒情報は、主要な政府機関と適切に共有することで、パンデミックの抑制に大きく役立つと考えられている。実際にBlueDotは、台湾に対して情報収集と分析、リスク評価を自動的に行うツールを提供しており、同国政府はそこから得られた知見に基づいて各種検査や移動制限といった対策を実施している。
これと同じことが、マギル大学の「パニック買い発生早期警戒情報」においても期待できるだろう。例えば、こうした情報を一部の小売業者が独占するのではなく、政府や自治体と共有する体制が構築できれば、より社会にとって望ましい状況に向けて行動が取れるようになる。
早期警戒の根拠となる情報を、公的機関から正式に連携して、分析の質を上げることも考えられるだろう。パニック買いの制御に向けて、テクノロジーの進化だけでなく社会全体として取り組めることがあるはずだ。
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